ついにネットの広告費が雑誌を追い抜いたという。既存メディアとネットメディアの激烈な競争は加速度を増しているようだ。同時に、著作権などネットでは解決すべき問題も残されている。ケータイ小説、迷惑メールなど――ITにまつわる時事ネタなどを、オルタナブロガーは日々、独自の解釈から発信している。
一向に減らない迷惑メールについては、前回も吉田憲人氏「メルマガの先は・・・」の投稿【迷惑メールに罰金3000万円とは驚いた!】を取り上げたが、その後に、とんでもないニュースが報じられた。22億通もの迷惑メールを送信したとして逮捕者が出たのだ。この25歳の容疑者も「まさか捕まるとは思っていなかった」と言っているが、無神経、無自覚過ぎるだろう。それは先日逮捕された殺害予告を「2ちゃんねる」に書き込んだ者にも言えることだ。
さて、話を戻して22億通の迷惑メール問題だ。“22億”という数字だけを見ると膨大な量だと思えるが、高橋徹氏「代替案のある生活」の投稿迷惑メール(スパム)は、ハイテク犯罪か??にも書かれていることに、筆者も同感だ。
もちろん、これだけの迷惑メールを送信した実行犯を裁くのは当然のことだが、その根幹までに立ち入らなくては、この手の犯罪はなくならない。
そして「ハイテク」という言葉の響きについてだ。例えば、「暴走族」という言葉に対し「珍走団」と呼ぶことで若者にイメージ低下の効果を狙った試みがある。迷惑メールについてもこれが単純には当てはまらないかもしれないが、「ハイテク」とは異なる呼び方を考えてみてはどうだろうか。
ネット社会が拡大の一途である。その中で、迷惑メールなどのような犯罪も増加しているわけだが、それ以外にもあらゆるところで影響がある。その1つが、広告費の拡大だ。
今泉大輔氏「シリアルイノベーション」の投稿メモ:ネット広告費が雑誌を抜いたでも指摘されたが、旧来のマスコミの広告が3年連続で前年割れし、その一方でネットの広告が雑誌広告を抜いたというのだ(関連記事)。
それを如実に感じるのは、次々に目にする雑誌の休刊だろう。2007年は、前年比30.5%増の51誌だという。すでに今年に入ってからも、老舗雑誌などの休刊が幾つか報じられている。逆に創刊も13%増の182誌というが、いったいどの程度続くのかどうかは未知数だ。雑誌で落ち込んだのは、PC誌や番組・都市型情報誌などだという。インターネットの発達が、これらの雑誌の意義を小さいものとしてしまったのか。いや、意義はあるのだが、それを雑誌側が見誤ってしまったのではないだろうか。
そして、雑誌の広告費市場は4%減の4585億円。対してネットの広告費は、24.4%増の6003億円だという。これは今後、ますます開いていってしまうのか、それとも逆転することがあるのだろうか。少なくとも、しばらくの間はこの状態が続きそうだ。この動向は、注視していく必要があるだろう。
アイティメディアのビジネス・ブログメディア「オルタナティブ・ブログ」では、150組ものオルタナティブ・ブロガーが、ITに関する時事ネタなどを日々、独自の視点から発信している。この多数のブロガーが参加している「オルタナティブ・ブログ」をナビゲーションする目的で連載しているのが、「オルタナブログ通信」である。
2月14日〜2月20日にかけて「オルタナティブ・ブログ」に投稿された190を超える投稿の中から、幾つかのキーワードに注目してピックアップさせていただいた。そのキーワードとは、冒頭で触れた「迷惑メール」「ネット広告」のほか、「ネットと著作権」「ケータイ小説」などといったものだ。読者が「オルタナティブ・ブログ」を読む際の参考にしていただければ幸いである。
まずは2月14日〜2月20日を最新としたオルタナティブ・ブログのステータスグラフを見ていただきたい。オルタナティブ・ブログの可視化である。
前回よりは少し下がったように見えるが、1つのみの投稿が減って、4つ以上の投稿ブログがほぼ横ばいであるのが分かる。一方、新たなブログとして谷誠之氏の谷誠之の 「カラスは白いかもしれない」が加わった。また、鈴木麻紀と丸の内ファイブ「ボクらの生きざまSHOW!」には、大西七歩氏と境野美央氏が新たなメンバーとして参加している。今後の投稿に注目したい。
また、オルタナブロガーを取り巻く環境として、昨年から今年にかけて、興味深い現象が起きている。加藤恭子氏「きょこ コーリング」の書店にオルタナブロガーコーナーができる?というエントリーにあるように、オルタナブロガーが書いた本が出版されるケースが増えているのだ。それも、自分のブログで紹介するだけでなく、オルタナブロガー同士で書評を書いたりするなどといったケースも増えている。興味を持ったブロガーが本を出していたら、ぜひ目を通してみよう。
ここで2月4日〜2月10日の週間アクセスランキングから、注目点をピックアップしよう。
1位にランクインしたのは、IT系でも時事ネタでもないように思える「5円玉を、見つめてみました」(一般システムエンジニアの刻苦勉励)だった。
そして2位以下には、著作権絡みのエントリーがランクインしている。そのうちの幾つかは後述する。
また、前回取り上げた「仮面舞踏会の様相を呈するmixiは、もはや単なる日記通知アプリに過ぎない」(大迫正治 REPEDANT BLOG)が5位に、「Yahoo!、MSを袖にする?」(Speed Feed)が7位にランクインしていた。
それでは、2月14日〜2月20日にかけてのオルタナティブ・ブログでどのような話題が投稿されてきたのだろうか。幾つかのキーワードから、筆者の視点でピックアップした投稿を紹介しよう。
週間アクセスランキングでも上位を占める著作権絡みのエントリー。
まず筆者が注目したのは、栗原潔氏「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」のeyeVioとJASRACの契約についてだ。筆者自身はアップする側ではなく、もっぱら閲覧する側だが、やはり著作権違反のものが野放し状態なのは見逃せない。そこで、「eyeVio」で合法的にJASRAC管理楽曲を投稿できるようになるというのは魅力的だろう。YouTubeやニコニコ動画など、ほかの動画共有サイトでも同様の動きが進むはずだが、その進展具合が発展を左右することになるだろう。また、前述のネット広告にも影響を与えることは間違いない。
また、このエントリーでは「追加」としてWBSの特集について触れられている。筆者は偶然見ていたが、角川のYouTubeとの連携などが取り上げられており、オルタナブロガーでもある久保田裕氏のコメントも紹介されていた。
その久保田氏「愚直なまでも著作権」は、ファイル交換ソフトユーザーの逮捕者10人に、即刻使用中止をというエントリーを投稿している。Winnyユーザーが逮捕されたことを紹介し、「著作権侵害をしている、または荷担しているユーザーには、その行為を今すぐに中止するよう」警告を発している。
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