――ITによって、数年後の社会はどう変わっていくか、斬新な意見をお聞かせください
井上 今IT業界、特にベンダー系は買収や統合がすごく激しいですよね。いろいろなベンダーや大きなIT企業は、製品のラインアップや自社製品の強みをどんどん補完している傾向がありますが、3〜5年後にはその動きが落ち着いてくると思います。それが落ち着いて来た時にどうなるか、何をすべきかと考えます。企業間の明確な差異がなくなってきて、同じような製品やソリューションをお客様に提案していかなくてはならないようになると思います。そうなった時に、お客様は「Why(なぜ使うか)」「What(何を使うか)」についてはいろいろな企業から得られると思いますが、今後は「How(どのように使うか)」の部分を考えていかなくてはならないと思います。
今はプロダクトアウトで物事を進めているベンダーが多いです。そうではなくて、お客様のビジネス状況などを考慮して、浮かび上がった課題に対しどうやってITを結びつけるかという、HOWの部分をいかに強くしていくのかが大事かなと感じています。
丁 ITのリテラシーがどんどん向上していき、インフラも充実してくると、世界がボーダレスになると思います。ビジネスが地域や国に関係なく進められるようになれば、誰でも好きな場所にいながら仕事できるようになると期待しています。
影山 先日、80歳になる祖母がPCを買いました。今の高齢者はすごく元気で向上心も強いので、徐々にIT慣れしてきているなと感じます。5年後、10年後に高齢者になる人たちはもっとITについて知識があるので、その頃には高齢者向けのオンラインゲームなどのサービスが登場しているかもしれません。
岩本 わたしが生まれ育った場所は田舎だったため、いざ「IT化」と言われても、都市部とはかなり格差を感じます。就職活動中に企業が「ITで都会と地方のバランスを取る」などと言っていましたが、地方に住んでいる身からいうと、まったくそんなことはなかったです。現在は田舎でビジネスを成功させるのは難しいですが、数年経てば(セカンドライフのような)仮想化などもビジネスに結びついてくると思います。サービスを提供するためのコストが安くなれば、もっと地方が潤うのではないかと考えています。
田中 将来ITがどんどん普及して、身近になっていくのは良いことだと思います。しかし、人間でしかできないこと、直接のコミュニケーションでしかできないことと、ITを駆使して有効化できることのすみ分けがあいまいにならなければいいと思います。それが怖いです。
先日、接客するロボットを見る機会がありました。しゃべったりお茶を運んだりするのですが、すごいなと思った反面、「あれ、人間いらなくなっちゃうんだ……」と感じてしまいました。
川本 わたしもよく未来を想像しますね。数年後に冷蔵庫など電化製品がすべてネットにつながれば、各家庭から発信される情報を管理する企業というのも登場するだろうと思います。
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