ギョーザ事件はシステマチックに防げるのか?食の安全とITを考える(2/4 ページ)

» 2008年03月08日 06時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

“食品偽装”という追い風に乗る

 食品業界を支援する新しいWebサービスも登場した。2008年1月から本格稼働した「品質表示.com」というサイトでは、品質規格書や製品ラベルなど品質表示の添削や作成を専門家が代行するサービスを提供する。

「品質表示.com」では食品会社と専門家の橋渡しを行う 「品質表示.com」では食品会社と専門家の橋渡しを行う

 立ち上げの背景について、同サイトの運営会社であるイーオプティマイズの若松秀社長は「品質表示の法律・法規は毎年改編される。大企業であれば、品質管理部や品質保証部という専門部署があるが、中小企業では社長や工場長が自ら作成しているため、とても対応できていない」と説明した。若松氏自身、20年間ほど食品メーカーに勤務しており、品質表示のラベルやパッケージを作っていた経験もあるという。

 昨今の食品偽装事件に加えて、4月1日から「農林物資の規格化および品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)が改正されることで、同社への問い合わせも増えているという。現行JAS法では、食品の品質表示の義務は一般消費者向けに販売していた製造業・販売業に限られていたが、改正JAS法では、原材料の供給業者や流通業者も品質表示が義務化されることになった。同社にとって食品偽装事件は「追い風」(若松氏)という。

製品ラベルの規約は省庁ごとに細分化されているのだ 製品ラベルの規約は省庁ごとに細分化されているのだ

 主なターゲットは、数人から数十人規模の中小企業としている。しかし、大企業でもニーズは高いという。若松氏は「大手は商品点数が膨大で、とても社内ではこなせない。外注したいはずだ」と強調した。

 このように、ITを結びつけた食品関連のサービスは今後も増えていくと思われる。

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