瞬時に起動するLinux環境SplashtopLinux Hacks(2/3 ページ)

» 2008年03月13日 00時00分 公開
[Nathan-Willis,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

アプリケーションの詳細

 Skypeはプロプライエタリなアプリケーションだが、Splashtopのアプリケーションはオープンソースを中心にした構成になっている。WebブラウザはFirefox 2.0.0.3の機能縮小版、チャットアプリケーションはPidgin、動画プレーヤはMPlayerをベースにしたものだ。

 ブラウザにはAdobe FlashとMPlayer用ビデオプラグインが含まれており、さまざまなオンラインメディアを閲覧できる。ただし、AcrobatやJavaをはじめとする多くのプラグインは見当たらない。少なくとも、AcrobatとJavaは含まれていないようだ(Firefoxのvanillaビルドからの変更点の1つとして「about:」というURL入力が無効になっており、インストールされているプラグインを簡単には確認できない)。また、エクステンション(拡張機能)、テーマ、検索エンジンのインストールもできない。事実、ナビゲーションツールバー上の検索フィールドは削除されている。

 任意のXPIをマザーボードのEEPROMにインストール可能にしてしまうことの危険性を考えると、エクステンション類を無効化している点は納得できる。だが、そのほかの機能まで削除する必要があるとは思えない。例えば、「file://」というURIでPCのHDDまたはメモリカード内のドキュメントを参照できない。こうした操作は日常的に行われており、“何でもすぐに参照したい”という考え方の下では確実に便利な方法だ。また、ページ情報の表示といったごく普通の操作が許されていないのも合点がいかない。

 DeviceVMの広報担当者アンドリュー・キッペン氏によると、そうした変更の多くはSplashtopが固定サイズのフラッシュメモリをストレージとして使用しなければならないことに起因している、という。FirefoxのvanillaビルドはHDDへのアクセスを前提としており、その点はユーザーがファイルをダウンロードするときだけでなく、自動アップデートやページのキャッシュのような基本的な機能についても同じだという。

 また、PidginはAIM、MSN、Yahoo!、QQ、Google Talkの各アカウントに対応している。Firefoxの場合と同じく、今回Splashtop向けに用意されたPidginでも、すべてのプラグインや、ユーザー設定用の多くの項目など、利用できない標準機能が数多く存在する。

 そのほかのメディアアプリケーションは(少なくとも現時点では)クローズドソースのものになっている。DVD再生用のソフトはLinDVDで、写真ビューアと楽曲プレーヤはDeviceVMで自社開発されたものだ。動作させてみると、これら2つのカスタムアプリケーションには付加的な機能がまったくなかった。楽曲プレーヤと写真ビューアは、それぞれMP3ファイルとJPEG画像しかサポートしていない。ただし、どちらもSDカードスロットや外付けのUSBドライブからファイルを読み込むことができるので、メディアの管理を手早く行うには役に立つ。

 メディア管理について補足すると、SDカードを挿入してもUSBドライブを接続しても必ずSplashtopによって自動マウントされ、ファイルマネージャが現われる。このファイルマネージャは、メニューには含まれていないものだ。

 Linuxには代わりのアプリケーションが幾らでもあるのに、DeviceVMが楽曲および画像の各アプリケーションをわざわざスクラッチから書き上げたことには疑問を感じた。だが、Firefoxのときと同じようにキッペン氏は、既存のアプリケーションを採用してHDDにアクセスできないシステムで使えるようにするには大がかりな変更が必要になる、と説明している。「確かに世間には優れた写真ビューアや楽曲プレーヤが数多く存在するので、どこかの時点でSplashtopのアプリケーションとして採用する可能性はある。ただし当面は、既存のアプリケーションに手を加えてわれわれの環境で動かすよりも独自のアプリケーションを開発する方が容易だと判断した」

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