クラウド内に開設されたコンピューティングパワーの取引所(2/2 ページ)

» 2008年03月26日 08時00分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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DigitalRibbonの訴求点

 DigitalRibbonのウィーバー氏によると、同社の差別化要因は電子取引所のビジネスモデルだという。

 「誰でも手持ちのリソースを登録することができる。コミュニティーの支持が拡大する中で、当社のビジネスは急速に拡大している。システムを広範に展開する手段を開発中だが、eBayのようなオークションモデルや廃熱利用のためのコージェネレションモデルのようなものになるだろう。すなわち、スーパーコンピュータを導入した企業が1カ月に5日か7日ほどしかそれを必要とせず、残りの日はそのコンピュータが空いているといったような場合に、それをDigitalRibbonに登録し、余分な能力を売ることができるというものだ」と同氏は説明する。

 ウィーバー氏によると、DigitalRibbonの顧客の多くは、問題を抱えながらもどこに頼ればいいのか見当が付かないという企業だ。あるプロジェクトでは、DigitalRibbonはMTVに1時間当たり約2.80ドルで1万コア・時間を販売した。MTVでは、自社のビデオゲーム「Rock Band」用のデータ設備のストレステストを実施するためにコンピューティングパワーを必要としていたのだ。上記の価格にはコンサルティング料金も含まれている。「われわれは懇切丁寧に指導した」とウィーバー氏は話す。

 同氏によると、手持ちのリソースを活用したり自社用のシステムを新たに購入したりするよりも、DigitalRibbonやオンデマンド型コンピューティングパワー分野における同社のライバル企業を利用することを顧客に促す要因は経済的メリットだという。

 「われわれは膨大な量のリソースを扱っている」とウィーバー氏は話す。

 「MTVがこういったテストを行うために2億5000万ドルのクラスタを構築したり、何百万ドルもかけて1Gbpsのコネクションを確立したりするというのは、経済的に見合わない。テストが終わったら、使わなくなったリソースをどうすればいいのだろう。彼らはそういったものを保有・維持したいとは思わないだろう」

 同氏によると、DigitalRibbonの契約期間は通常、3週間ないし3カ月である。同社はもっと長期の契約にも対応しているが(同社は1カ月当たり1000万コンピューティング時間、1日当たり30万コンピューティング時間、1時間当たり1万3000コンピューティング時間の能力を用意できる)、長期契約の場合は費用便益分析が必要になるという。

 DigitalRibbonは、自社のプラットフォームの構築に際して3つの主要な垂直市場にフォーカスしている。アニメーション/ゲーム開発、生物医学分野の研究開発、そしてガス/石油業界である。

 「われわれはサプライヤーのサプライヤーを目指している。最大の目標の1つが、SunのNetwork.comを支えることだ。彼らの環境が突然変動した場合に、われわれが助け船を出そうというのだ。彼らの長期的目標は、自社のコンピュータから解放されることだ。急激な需要の変動に対して安定したサービスを提供するのは大変だからだ」とウィーバー氏は話す。

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