オープンソース化から1年を経たSecond LifeTrend Insight(3/4 ページ)

» 2008年03月26日 02時00分 公開
[Nathan-Willis,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

2年目の展望

 Linden社では2008年にもLinden Lab Innovation Awardsを設け、これを毎年恒例の行事にしようと考えている。また、Linux用SLビューアについては、ランフィアー氏によれば“きわめて近いうちに”β版からα版への昇格が想定されているという。

 しかし、こうしたクライアント側の開発は2008年の最注力事項ではないようだ。ホルムバーグ氏もランフィアー氏も、発展を続ける3次元仮想世界における最も重要な部分はオープンプロトコルの開発だと述べている。

 ホルムバーグ氏によれば、SLの3次元Webは、利便性向上のために既存のWebと同じくらいオープンなものにしなければならないという。SLは、製品開発に使用される企業内の空間といったほかの仮想世界とは異なります、と彼女は説明する。それらの環境では、例え別の世界に移動しても、今日の Webが直面しているのと同じアイデンティティ、セキュリティ、同期といった問題が起こる。だが、SLのプロトコルの開発をオープンにすれば、相互運用性と発展の持続性が保証されるというのだ。

 Lindenがアーキテクチャ部会を組織したのはそのためだった、とランフィアー氏は言う。「サーバインフラストラクチャの大部分をオープン化することには、大いに興味がある。既存の実装に目を通せば、非常に正確で申し分のないドキュメントの作成につながるはずだ」

 しかし、SLのGridサーバのソースコードがすぐにも公開されるというわけではないようだ。「われわれの現在のサーバインフラストラクチャの構造には、ソースコード公開の障害となる要素が幾つか存在する。分割が困難な設計や、コンポーネント間の信頼関係の面で解決すべき問題を含む部分が少なくない」(ランフィアー氏)

 ランフィアー氏はさらに語る。「バックエンドシステムのリエンジニアリングと形式的なAPIの公開方法については、かなりの手間を掛けている。この部分は、内部および外部APIのモジュール性を高めてWebサービスをセキュア化するMulibとEventletに依存するところが大きい。われわれは、特定のAPIを使用する機能を与えることでセキュリティモデルを設計しており、“エージェント”の管理と“リージョン”の管理を分離している。こうした分離により、いったんログインした住人は、異なるホスティングプロバイダーによって運営されているリージョン間を移動することができる。また、きめ細かい機能を使うことで、われわれのエージェントドメイン内のサーバは、エージェントのいるリージョンプロバイダーに依存したリージョンシミュレータのさまざまなレベルの情報に対するアクセス/操作が可能になっている」

 アーキテクチャ作業部会では最終的に四半期に一度のミーティング開催が予定されているが、今のところ次回の予定は決まっていない。

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