景気減速はオープンソースに追い風――パネラーたちの見解(1/2 ページ)

Ubuntu創始者のマーク・シャトルワース氏によると、景気の低迷はオープンソースソリューション分野のイノベーションを促す大きな要因だという。

» 2008年03月27日 15時03分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 「過去の経験は、米国経済の低迷がオープンソース分野にとって追い風になることを示している。企業の資金不足は一般に、特にオープンソースアプリケーションのイノベーションを促進する大きな要因である」――Ubuntu Linuxの創始者であるマーク・シャトルワース氏は3月25日、サンフランシスコで開催された年次Open Source Business Conferenceでこのように語った。

 オープンソースデータベース企業Ingresのロジャー・バークハートCEOも同じ意見で、経済が減速するのに伴い、企業の予算が緊縮化し、より少ない投資で大きな効果を引き出すことが求められると指摘した。MySQLの製品担当副社長、ザック・オラフ氏も、オープンソースのコストの低さは、今日のような経済状況においては訴求ポイントの1つになると両氏の見解に同調した。

 これらは、「The Future of Open Source: Exploring the Investments, Innovations, Applications, Opportunities and Threats」(オープンソースの将来:投資、イノベーション、アプリケーション、ビジネスチャンス、脅威について展望する)と題されたパネルディスカッションでの発言である。3氏の見解は、North Bridge Venture Partnersの年次調査「Future of Open Source」の結果とも符合する。調査では、回答者の81%が景気悪化はオープンソースにとってプラスになると答えた。

 さらに同調査では、取得コストと維持コストが低いこと、コードのライブラリを利用できること、ベンダーロックイン(特定ベンダーによる囲い込み)から解放されることが、オープンソースソフトウェアの最大の魅力であることが分かった。

 「われわれは今、転換点に立っており、人々はプロプライエタリソフトウェアを現在使っているという理由を見直し始めている。オープンソースではなくプロプライエタなリソリューションを利用する理由はどこにあるのか? と考え始めたのだ」(シャトルワース氏)

 また同調査の回答者は、5年後には購入するソフトウェアの25〜50%がオープンソースになり、2年後にはRed Hatのような地位のオープンソース企業がもう1社出現すると考えている。

 2012年には商用オープンソース分野の売り上げ(コンサルティングを除く)で支配的な地位に立つのは誰かとの質問に対し、約35%の回答者がOracleやSun、SAPなどのプラットフォームベンダーを挙げ、回答者の20%がGoogle、Microsoft、Yahoo!などの複合企業を挙げた。相互運用性で連携する企業連合と答えたのは18%、Red Hatなどの専業企業と答えたのは15%だった。

 同調査によると、OS、アプリケーション、ミドルウェアのベンダーのソフトウェアデリバリ/ビジネスモデルに最大のインパクトを与えるとみられるのがSaaS(Software as a Service)であり、約50%の回答者がそう答えている。仮想化インフラと答えたのは約25%、クラウドコンピューティングと答えたのは15%強だった。ソフトウェアアプライアンスという回答は10%弱だった。

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