MSの「Albany」プロジェクトのターゲットはGoogle Docs(2/2 ページ)

» 2008年04月01日 08時00分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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Albanyに含まれないもの

 アナリストによると、Albanyスタックに含まれる可能性が低いのはMicrosoft Officeだという。Officeは大成功を収めたオフィスプロダクティビティスイートで、Word、Excel、PowerPoint、Outlookアプリケーションが含まれ、全世界の企業で利用されている。

 「彼らがやろうとしているのは、Officeと無縁なものでないにせよ、機能的にはオンライン版Officeに相当するようなものではない」と指摘するのは、RedMonkのアナリスト、ジェームズ・ガバナー氏だ。

 「Microsoftはローカルマシン上で動作するという前提でOfficeのコードを書いた。その実行環境を変更するのは技術的に大きな負担になるだろう。コラボレーション環境を実現し、ユーザーが期待する実行環境を提供するのは大変だし、少なくともOfficeと同じユーザーインタフェースメタファーを用意しなければならない。これは技術的なチャレンジであるが、それと同時にビジネス的なチャレンジでもある。Microsoftは自社のOffice製品と競合するようなことはしたくないのだ」(同氏)

 ヘルム氏によると、Microsoftが狙っているのは、Googleに効果的に対抗することである。Officeはさまざまな分野で巨大な成功を収めたオフィスプロダクティビティスイートだが、MicrosoftがGoogleの追撃を退けるに当たっての最大の目的は、エンタープライズ市場における自社の地位を防御することである。

 「MicrosoftにとってGoogleとの競争における最重要課題は、Googleがエンタープライズ市場に侵入するのを阻止することだ」とヘルム氏は語る。「そのためには、Microsoftはある部分でGoogleに譲歩する必要がある。同社は大学生向けに無償のHotmailを導入した。彼らはこの市場もGoogleに譲りたくないのだ。しかしコンシューマー市場では、MicrosoftがGoogleと真っ向から対抗する必要があるかどうかは疑問だ」

 Google Docsの無償オフィスプロダクティビティスイートとしての効果に関しては、いろいろなことが書かれているが、ヘルム氏によると、MicrosoftにはGoogleが持っていない武器が1つあるという。何百万台ものコンピュータにMicrosoftのオフィスプロダクティビティスイートを組み込んで出荷するOEMチャネルである。

 「10年前と比べるとかなり威力が衰えたものの、今でも非常に強力な武器であることに変わりない。このため、Microsoftはオンラインアプリケーションに注力する必要がないかもしれない。PCにバンドルされるアプリケーションをもっと魅力的なものにすればいいのだ」とヘルム氏は話す。

 Albanyプロジェクトが本当にコンシューマーと中小企業をターゲットとしたオンラインプロダクティビティスイートだとすれば、それはMicrosoftにとってGoogle Docs打倒を狙った最初の試みではない。ヘルム氏によると、同社は3〜4年前に「XDocs」と呼ばれるプロジェクトに着手しようとしたが、Officeと競合する恐れがあるという理由でプロジェクトは中止になったという。「社内の支持が得られなかったために、このプロジェクトが日を見ることはなかった」と同氏は説明する。

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