「明治神宮2.0」を目指してテクノロジーが伝える伝統(2/2 ページ)

» 2008年04月24日 08時00分 公開
[石森将文,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 平成18年(2006年)に取り掛かった再リニューアルプロジェクトに当たっては、すべて内製するのではなく、知人経由で紹介を受けたWeb構築のコンサルタントに相談しながら進められたとのこと。とはいえ、前回のリニューアルの経験から、福徳氏と伊藤氏の中で新しいサイトのイメージは固まっていたため、コンサルタントと月1回のミーティングを持ちながら、主体的にサイト構造を詰めていったという。


総務部 広報調査課 課長 福徳美樹氏。武道場での講師も務めるという

ITmedia サイトのデザインやコンテンツを決定するに当たり、調整に苦労した点は。

福徳 サイトのコンセプトとしては、明治神宮の品格や、代々木の森の豊かな自然を感じていただけるようなものにしたいと考えていました。今回業務を委託したコンサルタントの方には、そういったこちらの思いがスッと伝わっため、デザインも安心してお任せできました。とはいえ、神社のサイトである以上、留意しなければならないこともいろいろとあります。例えばお守りを紹介するにしても、それが「商品」に見えてしまわないよう気を付けるといった事です。コンテンツの良し悪しについては、関係者からさまざまな意見をいただきますが、その中の少数意見にも耳を傾けつつ、品格あるサイトであるよう、心掛けています。

ITmedia Webサーバなどの運用面はどうか。

伊藤 サーバは自前で用意するのではなく、ホスティングサービスを利用しています。明治神宮では、11月ごろからアクセスが上昇し、年末年始にそのピークを迎えます。通常の数十倍もの負荷に達しますので、サーバを分散化したいという思いはあります。しかし、ロードバランサなどを入れると、コストがかかる。現状は、年末年始の高負荷時のみマネージドホスティングに対応してくれるサービスを利用するなどして、安定稼働を目指します。

総務部 広報調査課 伊藤龍馬氏。毎日ITmediaを見てくれているとのこと。ありがとうございます

ITmedia サイトリニューアルの効果は。

福徳 神楽殿で御祈願いただく方の数が、リニューアルによって増えました。これは、御祈願の申し込み方などをサイトで紹介したことで、「そういうこともできるんだ!」と皆さんに気付いていただけたのだと思います。また、サイトをプリントアウトしてきて、お守りをお求めいただく方もいらっしゃいます。七五三や初詣、6月に見事な花を咲かせる菖蒲田(しょうぶだ)を紹介するなどし、「『サイトを見た』という人が訪れてくれた」と担当者からも評価されています。今回、一部のコンテンツのみ英語版をリニューアルしましたが、外国の方も多く訪れますので、英語版のコンテンツすべてについて刷新していきたいですね。

ITmedia 今後の展開について。

福徳 昨年、モバイルサイトもオープンしました。こういった取り組みに関しては、「神社がそこまでする必要があるのか」というご意見も頂戴します。ただ、携帯電話に慣れ親しんでいる若い世代にも、明治神宮のことをよく知ってほしいという、わたしたちの思いもあります。ご理解を得ながら、今後も続けていきたいと考えています。

福徳 一般の方にとっては、明治神宮は「神社の代名詞」のように思われている面があるようです。実際、お電話などで、神道一般に関するお問い合わせをよくいただきます。ですから今後は、明治神宮に限った情報だけでなく、一般的な参拝の作法や、七五三の意義など、日本の伝統や文化についても、皆さんに伝えられるようなサイトにしていきたい。その結果、日本人が大切にしてきた心と姿の良さが見直され、伝わっていけばうれしく思います。

関連キーワード

ホスティング | Web2.0


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ