P2Pのデータセキュリティリスクを理解するファイアウォールではなくポート80(1/2 ページ)

従業員がピアツーピアネットワークを利用することで、企業には予期せぬデータ流出リスクに直面する恐れがある。

» 2008年04月30日 08時52分 公開
[Brian Prince,eWEEK]
eWEEK

 ピアツーピア(P2P)型ファイル転送がデータ漏えいの原因になるケースが増えているが、IT部門はそのリスクを認識していないようだ。

 Ponemon Instituteが750人のITプロフェッショナルを対象として実施した調査によると、回答者の63%が自社ではP2Pアプリケーションの利用が禁じられていると答えた。だが、データ漏えいを防止するためにP2Pを監視していると答えたのは5%にすぎなかった。P2Pアプリケーションに関するポリシーを知らないという回答も26%に上った。この調査結果は4月14日の週に公表されたもの。

 この問題は、2007年にCitigroupのABN AMRO住宅ローングループの元従業員が、P2Pメッセージングネットワークを通じて5000人分の個人情報を流出させたことで注目を集めた。大手製薬会社のPfizerでも、P2Pアプリケーションの利用が原因で1万7000人分の個人データが流出するという事件があった。

 この調査のスポンサーで、P2Pネットワークの監視を行っているTiversaは4月初旬、ある企業の2498人の従業員のW-2フォーム(収入証明書)がその会社のネットワークから流出しているのを発見したという。問題のユーザーは、LimeWireを使ってGnutellaネットワークに接続していた。Tiversaのロバート・ボバックCEOによると、その会社にはP2Pの利用を禁じるポリシーがあったのだが、従業員がそれを無視したという。「P2Pネットワークの多くがファイアウォールを回避し、監視されたポートではなくポート80を利用するようになっていることも問題を厄介にしている」と同氏は指摘する。

 「調査の結果、P2Pの利用が集中するのは米国の業務時間帯であり、若者たちがファイルをダウンロードする夜間ではないことが分かった。P2Pユーザーの多くは、仕事中に職場の高速通信環境を利用する従業員だ」とボバック氏は指摘する。

 「セキュリティ対策を実施している多くの企業のIPレンジからファイルが流出している。これは、P2PがIT対策をすり抜けるのが非常に上手だからだ」

 また、P2Pを通じて入手するファイルは、正規のMP3ファイルのように装いながらも、実際にはトロイの木馬であったりする可能性もある。セキュアなファイル転送製品のベンダーであるAccellionのマーケティング担当副社長、ポーラ・スココウスキー氏によると、P2Pファイル共有を通じて送信されるスパイウェアやウイルスは、非常に急速かつ広範にユーザーの間に拡散するという。

       1|2 次のページへ

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR