ネット自殺や犯罪を防ぐために――悪を絶とうとするより、正義を進められないかオルタナブログ通信(1/2 ページ)

ネットから情報が広がった自殺連鎖をネットが防げるのか? そして、ネット規制の足音がヒタヒタと近づいている――Yahoo! 買収、著作権……オルタナブロガーは、ITにまつわる時事ネタなどを独自の視点から分析し、発信している。

» 2008年05月09日 14時55分 公開
[森川拓男,ITmedia]

いったい誰のため? ガソリン税の悲喜交々

 4月30日、3月末で失効していた租税特別措置法改正案が、民主党ら野党の抵抗むなしく、衆院で再可決された。これによって、ガソリン税などの暫定税率が復活。4月上旬から値下げされたガソリンが、再び値上げされることになった。つまり、この1カ月はガソリンの“暫定値下げ”だったわけだ。

 オルタナブロガーの奥川浩彦氏「広報コンサルティング+ライターで独立しました」は、ガソリン満タン…出来ずという投稿をしているが、確かに、暫定税率復活を受けて、各局のニュースでもガソリンスタンドの行列の様子を報じていた。中には長時間並んだ揚げ句スタンドのガソリンが無くなってしまい、給油できなかったドライバーもいたくらいだ。

 結局、この1カ月は何だったのか。昨年の参院選の結果から、暫定税率に対して野党が攻勢を強めることは分かっていたはずだ。それなのに、何もせずに通ることを前提にして、政府与党も各地方自治体も動いたことに問題がある。与党側は、「すでに暫定税率を前提にして、各自治体の予算が組まれている」ことを理由にしているが、それはおかしな話だ。この状態は昨年の段階で予測できたはずなのだから、そうならないように動くか、もしくは暫定税率が撤廃される前提で予算を組むように各自治体に働きかけるかはできたはず。なのにどちらもしなかったわけで、先を見る目がなさ過ぎる。

 中村昭典氏「中村昭典の、気ままな数値解析」【30円?】 明日からガソリン値上げ…税金の使い途が、なぜ明示されないのかなぁで指摘されている点も、不信感をあおっているところだ。つまり「この暫定税率は必要だ」というばかりで、その具体的な数値が示されていない。

 各報道機関の世論調査でも、軒並み福田政権の支持率が下がっているが、きちんと説明責任を果たさない政権では支持が受けられなくて当然だろう。われわれ有権者は、次の選挙までこのことを忘れずに、注視していく必要がある。

ゴールデンウィークで少し落ち込み?

 160組近くのオルタナティブ・ブロガーがITにまつわる時事ネタなどを日々発信している、ITmediaのビジネス・ブログメディアが「オルタナティブ・ブログ」だ。この「オルタナティブ・ブログ」への投稿の中から、幾つかのキーワードから筆者視点でピックアップして、読者へナビゲーションする目的で連載しているのが、「オルタナブログ通信」である。

 今回は4月24日〜4月30日にかけて投稿された中から、冒頭で触れた「ガソリン税」のほか、「Yahoo! 買収」「自殺防止」「著作権」「ネット規制」「法改正」などをキーワードに、幾つかの投稿をピックアップさせていただいた。読者が「オルタナティブ・ブログ」を読む際の参考にしてほしい。

4月24日〜4月30日を最新としたオルタナティブ・ブログのステータス

 さて、今回もオルタナティブ・ブログへの投稿動向を振り返るべく、4月24日〜30日の1週間を4月4週としたグラフを見ていただいた。これで、過去8週分のオルタナティブ・ブログが可視化されるのだ。

 このグラフから、前回大幅にアップした投稿総数が前々週のレベルまで落ち込んでしまったのが分かる。ある意味、前週がイレギュラーなだけで戻ったといえるのかもしれない。それとも、ゴールデンウィーク前半戦ということもあるのだろうか。今後に注目したい。

 また、アイセック事務所代表・一瀬宗也氏「島ナイチャーの沖縄探訪」が、新たなオルタナブロガーに加わった。沖縄からの投稿に注目だ。

 ここで4月21日〜4月27日の週間アクセスランキングから、注目点をピックアップしてみよう。

 ここしばらくランクインを占めつつも前回は1位のみだった栗原潔氏「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」が、今回はベスト10中6つにランクインした。やはり、JASRACへの公正取引委員会立ち入りが注目されたためだろうか、1位にJASRACへの公取委立ち入りはニコニコ動画にどのような影響を与えるか? が入ったのに加えて、著作権に関する投稿が強かった。

 その中で、3位に「日本のエグゼクティブは「ITは苦手」が自慢になる」(けんじろう と コラボろう!)が入ったことに注目したい。読者の注目度も高かったようだ。ぜひ、多くの企業人に読んでほしい投稿だった。

 また、前回の冒頭で取り上げた、伊藤靖氏「おるたなてぃぶ思考+etc」動画ブログ:「いとうせいこう氏感動のポエトリーリーディング!」が9位に、動画ブログ:「いとうせいこうポエトリーリーディング完全ノーカット版」が10位にランクイン。動画ブログというだけでなく、時事ネタである点も注目されたゆえんだろうか。

 それでは、4月24日から4月30日にかけて、オルタナブロガーはどのような話題に注目してきたのか。幾つかのキーワードから振り返ってみたい。

MSのYahoo! 買収、その後

 過去に「オルタナブログ通信」でも幾度か取り上げてきた、米Microsoftによる米Yahoo! の買収問題。

 ITmedia海外速報部・澤由紀子氏「海外速報部ログ」MSの締め切りを無視したYahoo! 中の人は……で書かれているように、Microsoftによる買収に対する回答締め切りに対して、Yahoo! 側は回答をしなかった。

 さて、その後どうなったか。結論だけ記すと、日本時間の5月4日、MicrosoftはYahoo! への買収提案を取り下げると発表した。

 実にあっけない結末となった。詳細については、これを受けてのオルタナブロガーの反応と共に、次回取り上げたいと思う。

ネットで自殺防止策

 ここしばらく、“連鎖”がマスコミをにぎわせている。全国各地で繰り返されるチューリップを始めとする花々の損壊事件、そして硫化水素を使った自殺事件。まったく異なる事件ながら、これらの根底には、政治と経済の無策、そしてモラルハザードがあるような気がするが、読者諸賢はどう思われるだろうか。

 川上暁生氏「ITコンシェルジュの Try ! & Error ?」硫化水素自殺という投稿は、負の意味でのインターネットとの関連について取り上げている。すなわち、ネットを通じて情報を検索し、そして材料までも入手できる現状。これを受けた警視庁は4月30日、ネット上に掲載された自殺手法を「有害情報」として取り扱うことを決定した。

 それにしても、自殺しようと決意した人を翻意させることは難しい。コメントにもあったが、自殺を迷い決断する、そもそもの原因を取り除くことが必要なのだ。そのためにも政治や経済が停滞し混迷している現状は、決してよいわけではない。

 そんな中、加藤恭子氏「きょこ コーリング」Yahooがやってるような自殺防止策、ほかでもできないでしょうか? でも取り上げられた、ヤフーの自殺予防策が登場した(関連記事)。完全ではないかもしれないが、これも1つの方策だ。せめて、ネット検索する迷い人の命は救えるかもしれない。

 ネットは、使い方1つで悪にもなれば、正義にもなる。ネットで自殺防止ができるのならば、どんどん推進してほしい。

 何よりも、自殺というのは、当人のみが死んで終わりではない。硫化水素自殺では、大多数への影響が明らかにある。まったく無関係な人を殺してしまうことだってあるのだ。そういえば、投身自殺を図った女性の巻き添えで亡くなった人もいた。自殺という選択肢を思わせないような世の中にならないものだろうか。

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