ネット自殺や犯罪を防ぐために――悪を絶とうとするより、正義を進められないかオルタナブログ通信(2/2 ページ)

» 2008年05月09日 14時55分 公開
[森川拓男,ITmedia]
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いつまで失われ続けるのか?

 目を覆いたくなるような事件や事故が連発する一端は、政治や経済の無策にあると書いたが、吉川日出行氏「ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦」「何もしない事が最良の戦略」という時代はいつまで続くのだろう? に書いてあることが、この理由を解くカギとなっている。吉川氏は、あくまでもビジネスの話として書いているが、そのまま政治の世界にも当てはめられるのだ。

 つまり、失われた10年(と言われ始めてから10年たっているような気がするが……。ということは失われた20年?)は、何もしない10年だったということだ。何もしないから何も進まないし、何も好転しない。

 子供の人口が減少傾向にあるのは、政府の少子化対策が一向に効果を上げていない証明だ。そのくせ、年金などはよい仮定しかしないから、どんどん行き詰まっていく。官僚は頭はよいが、失敗を恐れる傾向がある。ここは、政治家がリーダーシップをとっていかなければならないのに、政治家までも官僚のように保守化している。

 もちろん、政治家にもキチンとした意見・考え方を持っている人は多い。いや、ほとんどの政治家はそうだったはずだ。ただし、吉川氏も指摘するように、それが組織(政党)として動く際に、自分の意見を封じてしまうわけだ。冒頭で触れたガソリン税などもそうだ。でなければ、“暫定”という名の税率が長きに渡って自動更新されるわけがないではないか。有権者として注視していかねばなるまい。

著作権に競争原理は導入できるか?

 今回のランキングで8位に入った栗原潔氏「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」そもそも著作権利用の包括契約ってどーなのよ? は、著作権というものをあらためて考えるキッカケとなった。そして、包括契約がネット社会をまったく考慮していない制度であるということもハッキリした。詳しくは栗原氏の投稿に目を通していただければと思う。

 ネットに関す著作権まわりの法整備を進める必要があるのだが、果たして実作業はどうだろうか。

 そして、著作権の管理に関する問題。著作権管理に競争原理は働かないのか? と、著作権管理事業における競争原理の続き(仮)で触れられている、「競争原理」だ。今後、栗原氏が新たな投稿をされるようなので、注目したい。

法案の裏に潜む“何か”

 前述のように、事件や犯罪の温床の1つとして、ネットの存在がクローズアップされている。そして、「出会い系」「裏サイト」などの問題と絡めて、青少年をネットの有害な情報から守るべし、という機運の高まりともなった。

 そこで登場してきたのが、前回も触れた、自民党が準備を進める「青少年ネット規制法案」だ。この法案に関して、林雅之氏「『ビジネス2.0』の視点」青少年ネット規制法へ反対する声明文の賛同人の一人としては、問題点がどこに有のるかを指摘している。

 興味深いのは、増田真樹氏「2013」「ネット規制」について小学一年生が語るだ。なかなか示唆に富んでいる。目的は何なのか、ということだ。法案の裏に潜む“何か”を、見過ごすことはできないのである。

 折田明子氏「Empowerment blog」ネット規制と夫婦別姓の共通点も注目だ。筆者はそういう目で見たことがなかったが、このような見方もできるのか、と参考になった。たなざらしの法案は幾らもあり、ほかの法案審議に隠れてしまい、「〜年後の見直し」という条項が付きながら放置されていることも多いのだ。

 政局遊びをするのもよいが、こういった本来の法案審議をしっかりしてもらいたいものだ。

死刑と無期懲役と法改正

 来年にもスタートする裁判員制度に影響を与えるかもしれないのが、前回も取り上げた光市母子殺害事件の死刑判決だろうか。中寛之氏「情報インフラ24時 眠らないシステム」永山基準と無期懲役でも触れられたように、死刑の基準が変化したという事実だ。

 時代が変われば、犯罪も変わる。それに伴い法の基準も変える必要があるだろう。過去の判例に縛られることなく、事実に基づき判断し、きちんとした量刑を下す。そうでなければ裁判員制度など意味はない。事実と判例をインプットしたコンピュータで判決を出せばいい。

 谷誠之氏「谷誠之の 「カラスは白いかもしれない」」言葉はこうやって変わっていくで指摘されるように、言葉1つとっても変化していく。もちろん、ときの流れで変わるものは仕方がないが、大人がしっかり教育していくことで、悪い変化が防げるかもしれない。

 最後に2つばかり、気になった記事を紹介しておきたい。

 山本陽平氏「Neue Welle -ノイエ ヴェレ−」ウィキペディア書籍化@ドイツには、筆者も懐疑的だ。書籍化されたウィキペディアは、もはやウィキペディアではないと思う。まあ、それはそれとして面白いかもしれないが。

 妹尾高史氏「抱き込め!ユーザー、巻き込め!デベロッパー」さぁ、本を”片付ける”ぞ〜! と、本の手に入れ方〜どうして読み切れない程存在しているのか? は、本の山に埋もれている筆者も共感するところが多々あった。反省すべきところもあったが。

 以上、4月24日から30日にかけてオルタナティブ・ブログに投稿された中から、筆者の視点で幾つかピックアップさせていただいた。しかし、膨大な投稿の中からごく一部を紹介したに過ぎないので、ぜひ、ほかの投稿にも目を通してほしいと思う。

 「オルタナティブ・ブログ」をチェックするには、「最新の投稿」をチェックしてみよう。最新100件の投稿がフィード配信されているので、リーダーなどを利用すれば楽に読める。ブロガーから探したい、という場合は「ブロガー一覧」「新規参加ブロガー」をチェックしてみよう。また、内容から見たいという場合は、「ブロガー・カテゴリー」を活用すれば、各投稿に付けられたカテゴリ別に、該当の投稿を抽出できるのだ。ぜひ、あなたのお気に入りブロガーを見付けてほしい。

 ITの今を知る、新たな発見があるはずだ。

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