カジュアルウェアを販売大手のライトオンは統合BI基盤を構築。より精緻な商品販売計画を立案すると同時に、計画を可視化し、経営層の意思や計画情報を全社で共有することに取り組んでいる。
導入前の課題
従来のツールは使い勝手が悪く、情報の分析・活用に時間がかかっていた。
特定の商品以外については、細かいフォローができなかった。
導入後の効果
情報の分析・活用が簡単にでき、現場の人間が自分の業務に集中できるようになった。
あらゆる商品について同じ視点で販売できるようになった。
ライトオンは、人との出会いを大切にする「共感経営」を理念に掲げ、ジーンズを中核アイテムとしたカジュアルウェアを販売する専門店である。全国にチェーン展開しており、店舗数は約500、売上高は1000億円を突破している東証一部上場企業である。同社は、2001年8月にいったんはSPA(製造型小売業)化を目指して方向転換を図ったものの、業績が落ち込んだために、02年2月には再び専門店化へと大きく舵を切り替えた。そして半年後には、見事にV字回復を実現し、以来、力強く成長を続けている。
同社がV字回復を成し遂げたのは、従来の垂直型機構のビジネスモデルから店舗を起点とした現場主義のビジネスモデルへとシフトし、同時に出店戦略、商品戦略、販売戦略、販売促進活動、商品供給を支えるバックアップシステムとなる「売れる仕組み」の構築に取り組んだからだった。「売れる仕組みは、適時、適品、適量、適所、適価の『五適』を達成することを目標として設計されており、それを実現するためにはシステムの助けが不可欠なのです。そのため、この部分にはこういうシステムが必要です、という風にして順々にシステムを構築していきました」と語るのは取締役経営企画部長・梅田泰弘氏だ。
具体的には、MD計画システム、業務実行システム、情報分析・アラートシステムを構築した。MD計画システムとは、売場での展開を計算した、より精緻な商品販売計画を立案すると同時に、計画を可視化することにより、経営層の意思や計画情報を全社で共有するシステムである。業務実行システムは、商品販売計画に基づき、実際の販売状況を反映させながら、在庫を最適化し売り上げを最大化する業務を実行するシステムである。そして情報分析・アラートシステムは、迅速な経営判断を可能にするKPI(重要業績評価指標)をリアルタイムに表示するとともに、計画と実績の差異を正確に分析することを可能にし、業務実行に有効な情報を提供するシステムである。
それらのシステムがスムーズに連携することによって、売れる仕組みのPDCAサイクルが確立された。そして、C(Check)の役割を果たしている情報分析・アラートシステムの中核に採用されているのがビジネスオブジェクツの統合BI基盤BusinessObjects XI(エックスアイ)である。その選択の理由としては、他システムとの連携がスムーズであること、リポート作成や分析などの自由度の高さ、図表などで直感的に分かる表現力、SIerの評点の高さなどもあったが、梅田氏は「使い勝手が良くて、バイヤーやディストリビュータが本来の業務に専念できるようにしてくれるツールであったことが一番の理由です」と言う。「今までは、自分で情報を引き出し、分析したりしていたので、かなりの時間が取られていました。それをツールが短時間でやってくれれば、その分、本来業務に集中できます」。この結果ROI(投資利益率)は650%になったという。
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