「銀行のビジネスモデル」はデジタル社会でどう進化するか SMBCグループCDIOが語ったデジタル戦略の展望

デジタル化の波を受け、異業種との境界が徐々に薄れつつある「銀行」。生き残りをかけて各行がさまざまな取り組みを急ピッチで進める中、SMBCグループはどのようなデジタル戦略を進めるのだろうか。

» 2021年04月15日 11時00分 公開
[名須川 竜太ITmedia]

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 2021年2月4日に開催された金融機関向けオンラインイベント「nCino Summit Japan 2021」(主催:エヌシーノ)において、SMBCグループのデジタル戦略を統括する三井住友フィナンシャルグループの谷崎勝教氏(執行役専務 グループCDIO)が基調講演に登壇。『進化し続けるSMBCグループのデジタル戦略』と題して、同グループが進めるデジタル戦略と展望を語った。

長年培った信頼を基盤に4つのテーマでデジタル戦略を推進

三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 谷崎勝教氏

 三井住友銀行を中核に、クレジットカードや証券、リース、コンシューマーファイナンスなど、金融事業を幅広く手掛けるSMBCグループ。低成長が続く国内市場や業界の垣根を超えた競争の激化などで経営環境が厳しさを増す中、同社は2020年5月に発表した新たな中期経営計画の中で「最高の信頼を通じてお客様、社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」という中長期ビジョンを掲げる。

 SMBCグループでは、このビジョンの実現に向けて「情報産業化」「プラットフォーマー」「ソリューションプロバイダー」という3つの方向性を打ち出すとともに、基本方針として「Transformation」「Growth」「Quality」の3つを策定する。これらの下でビジョンの実現に不可欠な取り組みとしてデジタル戦略を推進しており、現在は特に次の4テーマに注力する。

SMBCグループ2020〜2022年の中期経営計画の概要(出典:SMBCグループ)


  1. テーマ1:デジタル領域におけるプレゼンス拡大
  2. テーマ2:ビジネスモデルの高度化
  3. テーマ3:ターゲット領域の深化
  4. テーマ4:対象地域の拡大


 CDIO(チーフ・デジタル・イノベーション・オフィサー)としてグループのデジタル戦略をリードする谷崎氏は、「これらを通じて、顧客との長年にわたる取引の中で培ってきたQuality、すなわちTrust(信頼)を基盤にして、既存のビジネスモデルの改革としてのTransformationと、新たなビジネス領域への挑戦としてのGrowthを進めている」と話す。

 以降では各テーマに対してSMBCグループが実践してきた新技術への挑戦、サービス開発の詳細を見ていく。同グループが、既にソリューションプロバイダーとしての地位を確立しつつある状況が分かるだろう。

テーマ1:サービス領域を非金融に拡大、国際的な先進プロジェクトにも参加

 SMBCグループが提供するサービス領域は、従来の金融系に加えて非金融系に拡大している。為替や預金、融資といった伝統的な金融サービスについてデジタル変革(DX)を推進するのと同時に、「これらの中核的な金融機能の周辺領域や新たな手続き領域、顧客企業の課題解決につながる領域に対して新サービスを展開していく」と谷崎氏は話す。

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