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カガーマンCEO、SOAからビジネスネットワークへ企業の変革を支援するSAPPHIRE 2008 Berlin(1/2 ページ)

独SAPは5月19日、本拠地のドイツ・ベルリンで年次カンファレンス「SAPPHIRE 2008 Berlin」を開幕した。欧州ではカガーマン会長兼共同CEOとして最後の講演となる。

» 2008年05月21日 15時44分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 独SAPは5月19日、本拠地のドイツ・ベルリンで年次カンファレンス「SAPPHIRE 2008 Berlin」を開幕した。欧州ではSAPのシェアは特に高く、会場となった「Messe Berlin」には、欧州を中心に約9000人のユーザーやパートナーが足を運び、3日間にわたりSAPやパートナーの最新技術や成功事例を学ぶ。

 初日、基調講演のステージに立ったのは、会長兼共同CEOのヘニング・カガーマン氏だ。カガーマン氏は、ともにCEOを務めるレオ・アポテカー氏にCEOの座を引き渡すことが決定している。この日は、CEOとしては最後となる欧州でのSapphireのステージとなった。

ヘニング・カガーマン会長兼共同CEO

 今年のSapphireのテーマは、企業の境界を超えたビジネスネットワーク。これは、「エンタープライズSOAの次」として、SAPが提唱しているものだ。構想を打ち出したのは2007年。2008年はデモを交えながら多くがすでに実現可能であることを披露した。

 ビジネスネットワークへの土台は整備された。ビジネスネットワークによる変革を提唱する理由について、カガーマン氏は次のように説明する。

 「これからの時代、製品を提供するだけでは不十分だ。われわれの顧客の多くは、単なる製品を超える“ソリューション”や“体験”を提供しようとしている」

 これは1社では実現できない。そこで、さまざまなタイプのビジネスネットワークを要件に応じて構築し、コラボレーションすることが必要となる。

 ビジネスネットワークを構築する目的は、事業の拡大や多角化以外にもある。中小企業であれば、ビジネスネットワークの中で補完技術を提供することで市場に参入できる。複雑なビジネス関係を協調関係に変えることもできる。

 「エンタープライズはすぐに変革できるものではない」とカガーマン氏。「われわれの業界は10年以上前にビジネスネットワークを見据え、少しずつ基盤を整えていった」。それが、エンタープライズSOAやNetWeaverなどのSAPの製品群であり、SAPはこれまでビジネスネットワークを実現する新技術に移行するよう、顧客を促進してきた。

 ビジネスネットワークをプッシュする土台は整いつつある。主力製品である「SAP Business Suite」では、SAP ERP 6.0の顧客が1万社に達した。NetWeaverを導入した企業は約3万8700社あり、3000近くのサービスがある。

 中規模企業向けの「SAP All-in-One」は、年成長率25%で伸び、顧客数は1万1700社を数える。小規模企業向け「SAP Business One」も好調で、顧客数は1万8690社で年成長率23%という。SaaSの「SAP Business ByDesign」は、米オーランドで開催されたSapphireにて提供延期を発表したところだが、これについては、「これまで加速してきたのを、通常のペースに戻したにすぎない。製品として提供するからには、妥協はしたくない」と説明した。

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