Web2.0時代では「勘」だけに頼った企業は衰退し、「タイムリーな情報」を持った企業のみが高い競争力を持てる時代となっている。
Web2.0は米国O'Reilly Media社の代表のTim O'Reilly氏が2004年に発案した用語である。もともとは急成長するインターネット周りの新しいビジネスを帰納的に総称するために発案したもので、比較的広い範囲で5つほどの特徴で定義されている。そのためにかなり都合よく解釈されて乱用されている感もあるが、その定義はともかく、Web2.0と総称されるインターネット上の新しいビジネスには驚異的な発展をしているものが多く出現している。さらにインターネットの世界だけに留まらず社会全体にも大きな影響を及ぼし始めており、単なる流行語ではなく大きなトレンドとなっている。
例えばロングテールという現象。従来は「ビジネスは2割の顧客で8割の売り上げを上げる」という社会常識があった。しかしロングテールビジネスモデルでは従来なら効率が悪いと切り捨てられていた8割以上の小さな顧客(ロングテール)で大成功を収めている。代表的な企業にGoogleがあるが、その売り上げは2002年の4億ドル強から2007年には165億ドルへと驚異的な拡大をした、たった5年の間に売り上げを40倍近く増やした。その規模にしても成長速度にしても従来の常識ではとても想像できないことである。
2004年、Googleが上場した際、ほとんどの証券アナリストは口をそろえて「Googleの株は買うな」というコメントを出していた。検索サービス自体は無料、主な収入源は平均数10セントという安い単価の広告だけ。どう考えてもまともなビジネスとして成立するはずがない、と専門家は見ていた。
ところが決算が発表される毎に驚異的な増収増益の連続で、株価も急騰し上場時85ドルだった株価は3年で700ドルを超えるまでに高騰した。辛口だったアナリストも手のひらを返したように一変してGoogleを賞賛し始めた。これまでの常識では理解できないことに戸惑いながらも、新しい価値として認知せざるを得ない状況となった。
ロングテールは実社会のビジネスをも大きく変貌させている。例えばある田舎町の小さな花屋がGoogleのキーワード広告を巧みに利用することで、世界中の顧客相手に売り上げを急拡大させるなど、従来では不可能であったことが実現可能になった。
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