地球温暖化問題をキーワードで理解しよう洞爺湖サミット迫る(3/5 ページ)

» 2008年07月02日 15時20分 公開
[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

 京都メカニズムおよび吸収源活動と炭素クレジットとの関係を整理すると下図のようになる。

図1 京都メカニズム及び吸収源活動と炭素クレジットの関係

「カーボンニュートラル」

 環境科学における用語。ある活動における一連のサイクルの中で、大気中から吸収されるCO2量と放出されるCO2量が一致している状態を指す。例えば、大気中からCO2を吸収して育った植物を燃やすという行為は原理的にカーボンニュートラル状態であるといえる。CO2排出量が吸収量より多い状態をカーボンネガティブ、またはカーボンマイナスと呼び、CO2吸収量が排出量を上回る状態をカーボンポジティブと呼ぶ。石油などの化石燃料は燃焼した結果放出されたCO2が元に戻らないため原理的にカーボンネガティブであるが、植物を原料とした燃料の場合はカーボンニュートラルに近い状態を作ることが可能である。

「カーボンオフセット」

 カーボンネガティブ状態の場合に何らかの対策を講じることで余分に排出されたCO2を吸収し、CO2の排出量と吸収量のバランスを取ろうとする行為を指す。カーボンオフセットには植林を行うなどの直接的方法とCO2排出権取引を行う間接的方法の二通りがある。

図2 カーボンニュートラルとカーボンオフセットの概念

「国内/特定地域内排出量取引」

 京都メカニズムで定められた排出量取引は京都議定書批准国間でのみ行われるものである。それとは別に国内や特定地域内で独自に排出権取引を行うケースが出てきている。主な例としてはEUにおける「欧州排出量取引制度(EU-ETS)」やオーストラリアにおける「ニューサウスウェールズ州温暖化ガス削減スキーム(GGAS)」などがある。

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