次に、データセンター関連のキーワードを紹介する。
データセンター内でIT機器の冷却用途に用いられることを想定した空調機器。「精密空調装置」とも呼ばれる。データセンターを構成する重要な要素の1つである。
現在の多くのIT機器は前面から冷気を吸気し、それを背面から排気することで排熱を行っている。そこでIT機器の前面同士と背面同士を向かい合わせることで、吸気のための冷気が通る道と排気のための暖気が通る道を分けることができる。
この冷気と暖気の通り道をそれぞれコールドアイル、ホットアイルと呼ぶ。CRACから供給された冷気がコールドアイルと通じて確実に各ラックのIT機器に届くようにするため、さまざまな工夫がなされている。冷房効率を下げる大きな要因の1つが冷気と暖気がラック内で混ざり合ってしまうことである。これを防ぐにはラック内の空いている段中に仕切り(ブランクパネル)を設けるなどの対処が一般的である。
主にエアコンを対象とした能力評価指標。以下の数式で定義される。
COP = 電力換算された冷暖房能力(kW)/ 定格消費電力(kW)
CRACの能力評価にも用いられるが、フロア面積が広いデータセンターにおいてはCRACのCOP値がそのままフロア全体の冷房能力を反映しているとは限らない。最近ではコールドアイル//ホットアイルの状況を数値流体力学(CFD、Computational Fluid Dynamics)を駆使して解析し、フロア全体の冷房能力を評価・測定する動きが活発化している。
一方で、ラック単位で空調管理を行ったり、フロアを空調の観点からモジュール分割して考えたりといった局所冷却の手法も考案されている。今後はこれら複数の手法を適宜組み合わせて、データセンター全体の効率を高めるというアプローチが普及していくものと予想される。気候変動枠組条約における締約国会議も同様に「COP」と略されるが、意味が全く異なるので注意する必要がある。
旧来より用いられていたデータセンター効率評価の指標。以下の数式によって定義される。
DCD = フロア内に設置されたIT機器の総消費電力 / フロア総面積
DCDはデータセンターがどれだけの電力供給能力があるかという観点での指標にはなるが、電力消費の効率性という意味では必ずしも適切な指標とはいえない。狭いフロア面積にたくさんのIT機器を設置できたからといって、電力消費効率が上がるとは限らないからである。今後はDCDに代わり、以下のPUEが新しいデータセンター評価指標になっていくと予想される。
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