クラウドに目を向けるMicrosoft次世代環境を手に入れるのか

理想を言えば、「クラウドかオンプレミスか」という論争は徐々に消滅すべきだ。Microsoftの「Exchange Online」戦略は、プラットフォームを問わないというクラウドコンピューティングの条件を満たすことができるのだろうか。

» 2008年08月04日 14時00分 公開
[Jason Brooks,eWEEK]
eWEEK

 わたしはMicrosoftが準備中に「Exchange Online」サービスについて検討を行った後、雲(クラウド)に覆われて不透明なITの将来に向けた同社の「ソフトウェア+サービス」戦略の可能性と現状について考えている。

 ソフトウェア+サービスの宣伝文句は次のようなものだ――「企業および個人はクラウドベースのサービスにいきなり飛び込むのではなく、従来のオンプレミス(自社運用型)ソフトウェアをベースとし、必要に応じてホステッドサービスで補完するという融合戦略を推進すべきである」

 この戦略は非常に合理的だ。ユーザーが達成しようとしているタスクの上に特定のプラットフォームを置くのは賢明ではないからだ。理想を言えば、「クラウドかオンプレミスか」という論争が次第に消滅し、企業は自社の目標達成に最適なプラットフォームの組み合わせの上に必要なアプリケーションを運用することにフォーカスすべきである。

 しかし、Microsoftがこれまで自社のプラットフォームとアプリケーションを必要以上に緊密に結び付けてきた歴史を考えれば、同社がこういったプラットフォーム中立志向の未来の実現に貢献するつもりがあるのかは疑問だ。

 例えばExchange Onlineでは、ソフトウェア+サービス製品で特に必要性が高いと思われるオンプレミスからクラウドへの自動フェールオーバー機能が欠落しているだけではなく、クライアントサイドでは通常のオンプレミス版Exchangeよりも緊密にWindowsに結び付いている。

 現在わたしは、Exchangeベースの自分専用のメールボックスで、POP3とIMAPを利用してExchangeを非Windowsデバイスに対応させているが、わたしの知る限り、Exchange Onlineにはどちらのオプションも用意されていない。ただしExchange Onlineでは、IMAPを利用してメッセージを同サービスに移行することができる。

 ソフトウェア+サービスが結局、「サービスを利用するのは結構だが、ソフトウェアなしでは困るだろう。ところで、そのソフトウェアはWindows上でのみ動作する」という意味なのであれば、クラウドコンピューティングによって実現可能な低バリアの世界にMicrosoftが参加するのは難しくなるだろう。

 Exchange Onlineはまだβ段階にあり、Microsoftが同製品を広範なクライアントに対応させる可能性も十分にある。Microsoftが最近、OSP(Open Specification Promise)を拡大したことも、将来に希望を抱かせる動きである。同社はOSPの下で、各種の商用/非商用の相互運用プロトコル規格をリリースした。

 Exchangeに関して言えば、わたしはMicrosoftが相互運用性イニシアティブをさらに推進し、Exchange ActiveSyncのライセンスを開放して、すべてのクライアントプラットフォームのユーザーをExchangeの顧客ベースに招き入れることを望んでいる。

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