Red HatとAmazonがクラウド内で連携Webサービスとして

Red HatはAmazon EC2上でJavaアプリケーションを開発できるようにする。

» 2008年06月24日 09時21分 公開
[Dan Berthiaume,eWEEK]
eWEEK

 Red Hatでは「JBoss Enterprise Application Platform」のβ版をAmazon EC2(Elastic Compute Cloud)内のソリューションとしてリリースする予定だ。

 この計画は、ボストンで開催された「Red Hat Summit 2008」において6月17日に発表されたもので、Red HatとAmazonとの従来の開発提携を拡大するものとなる。

 Red Hatのミドルウェア事業部のクレイグ・マジラ副社長は「ハードウェアやデータセンターがなくても、Java開発者はアプリケーションを開発し、それをクラウド内に配備することができる。JBossは、メッセージングやトランザクション管理などのインフラを備えたJava開発者用のコアアプリケーションサーバである」と語る。

 Amazon EC2は、開発者がコンピューティングキャパシティを動的に取得、構成することを可能にするWebサービスである。マジラ氏によると、Amazon EC2内でJBossプラットフォームを利用するビジネスシナリオは幾つかあるという。

 「アプリケーションを開発しているIT部門がサーバやストレージ、ネットワーキングなどのインフラを追加したくない場合、コードをEC2内に配備することによってアプリケーションを立ち上げることができる」とマジラ氏は説明する。

 「また、電子商取引サイトで利用しているWebベースのアプリケーションのインフラを社内で運用しているけれども、利用率の変動が激しいというケースもあるだろう。こういった場合には、ピーク時以外にはほとんど遊んでいるようなインフラを購入するよりも、クラウド内にプロビジョニングすることによって需要の急増に対応することができる」(同氏)

 マジラ氏が紹介したもう1つのシナリオは、Webアプリケーションを配備する必要がある中堅中小企業が、インフラの購入が求められる従来型のホスティング企業とは契約したくないというケースだ。

 「自社またはサードパーティーベンダーが開発したアプリケーションや市販のアプリケーションをオンデマンドでプロビジョニングし、Amazonにホストさせることができる」と同氏は語る。

 マジラ氏によると、Amazon EC2上でJBossプラットフォームを利用できるようにするのは市場での実験の一部であり、クラウドコンピューティングが提供するオンデマンドサービスを通じて開発コストを削減する方法を見つけることが目的だという。

 「これは市場の新分野だ」と同氏は話す。

 Aberdeen Groupは、エンタープライズアプリケーション統合に関する2006年の報告書の中で「非効率的なアプリケーション統合プロセスと技術利用のせいで、企業は世界全体で総額1430億ドルのビジネス価値を失っている」と指摘した。この報告書で調査に協力した企業の半数は、ビジネスプロセスの柔軟性の欠如が問題となっていると答えた。

 同報告書は、SOA(サービス指向アーキテクチャ)技術の導入、ビジネスプロセスのリアルタイム可視性の改善、ITソフトウェアの保守コストの削減といったソリューションを提案している。

 Red Hatは自社のエンタープライズアプリケーションプラットフォームをAmazon EC2クラウド内に配備することにより、エンタープライズアプリケーション統合市場における柔軟性とコスト抑制のニーズに応えようとしているようだ。

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