中小企業の逆流業務プロセスとIT志向IT Oasis(2/2 ページ)

» 2008年08月08日 12時57分 公開
[齋藤順一,ITmedia]
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経営者の意識

 中小企業の経営者がITの関心が薄い実態を見て、あたかも中小企業経営者の経営能力が低いかのような議論もあるが、それは間違っている。経営者は「機を見るに敏」である。会社が利益を上げるにはどうすればいいか日夜考えている。ITに関心が薄い経営者の会社ではITを必要としないのである。利益につながらない投資に経営者は関心を払わないのは当然のことだ。「銭勘定はシブイ」のである。

 ただし注意する点がある。ITの進歩は日進月歩、秒進分歩である。今まで不可能だと思われる技術が可能になったり、高くて手が出ないと思われていたものが安くなったりすることが当然のように起こる世界である。

 経営者が昔の常識でITの動向を注視することを止めているとすれば、それは危険なことである。

 自社にITは不要と考えている経営者や逆に自社のIT投資はもう十分と考えている経営者に対し、最新のIT技術動向やIT導入成果を周知し、啓発し続けることは必要である。

中小企業のシゴト

 大企業の業務がシステマティックに上流から下流へと流れるのに対し、中小企業では逆プロセスが多く発生する。

 逆プロセスとは正常の流れと反対の流れやイレギュラーな流れである。

 例えば製品を作ったが検査の結果手直しが発生して、工程の前の方に手戻りしたということである。あるいは、仕入先に10個の部品を発注し、納品検査したところ5個は不良で再納入させることになったとか、仕入先が5個しか調達できず、分納になったといった状況である。

 大企業では生産は計画的に行われるが、下流域に位置する中小企業では上流の影響を受けやすいい。「得意先から、そこを何とか」とか「俺の愚痴を聞いてくれ」とか言われると、付き合い上断れず、無理を承知で受けることもよくある。

 こうした事情が計画的な生産を困難にし、ITの活用を妨げている要因でもある。

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プロフィール

さいとう・じゅんいち 未来計画代表。NPO法人ITC横浜副理事長。ITコーディネータ、上級システムアドミニストレータ、環境計量士、エネルギー管理士他。東京、横浜、川崎の産業振興財団IT支援専門家。ITコーディネータとして多数の中小企業、自治体のIT投資プロジェクトを一貫して支援。支援企業からIT経営百選、IT経営力大賞認定企業輩出。


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