サマーバケーション到来。でも管理者のわたしたちには、システムトラブルという心配のタネが付きまとう……。旅行の予約を入れる前に、社内システムのセキュリティ対策を最終チェックだ!
さて、世の中はお盆休みに差しかかろうとしている。この時期になると、毎年思い出すことがある――。
それは、2003年夏のこと。数日の短いバカンス(死語?)の最終日、私は遊び仲間数人との楽しい旅行を終えて帰途についていた。そこで不意に携帯が鳴る。見ると今回の旅行に参加する予定だったが、急に仕事が入ってしまった、友人K美からだ。
わたし もしもしい?
旅行の思い出を引きずって、まだテンション高めのわたし。
K美 もう帰ってきたんだっけ?
当初この旅行に参加する予定だったK美は、大方のスケジュールを知っていた。
わたし うん。あと2、3時間で家に着くかなー。
K美 ……(沈黙)。
なぜか返事をしないK美。ミョーな間が空いた。そこに「何かあった」ということを敏感に察知してしまうわたし。うーん、これも一種の職業病か……。
K美 ノートPCがウイルスに感染したらしいの。
突然のウイルス感染告知。やっぱり「何かあった」のね……。詳しく話を聞いてみると、次のようなことらしい。
旅行に参加できずにお盆の間仕事をしていたK美。やっとのことで仕事を終えてお盆休みに突入したとたん、普段自宅で利用していたPCが壊れてしまった。あれやこれやいじっているうちに分からなくなり(もしかしたら「余計に壊してしまったのかもしれない」というのは彼女のセリフ)、これを口実に、新しいPCを買うことにしたという。
彼女は旅行代金に使う予定だったお金を、PCの購入代金にあてた。購入したPC(当時最新のノートPCだった)をセットし、早速インターネットにつなげてOSのアップデートを行ったり、ウイルス対策ソフトのアップデートを行ったりしている最中に、突然PCがおかしくなった。勝手にWindowsが再起動をくり返す、というのだ。その現象が発生した直後は「また壊れた? 買ってきたばかりなのに……」と思ったという。そのまま何度か再起動をくり返した後、その症状はおさまった。
しかし、どうも怪しい。胸騒ぎがする。そこで、わたしが帰ってきるのを見計らい、まっさきに電話したということらしい。
これは当時大流行したMSBlastというワームの典型的な挙動である。しかも再起動がおさまった背景には、MSBlastを退治すると言われていたワーム、MSBLAST.D(またはNachi)の感染が考えられる。その年の8月16日以降、未対策のPCをインターネットに接続すると危ないと言われていたのだが、K美は知らなかったらしい。彼女は真新しいノートPCを17日に購入し、わずか1時間で見事に感染したのだった(しかもダブルパンチで)。
そういえば、夏休みに入る前に、危ないとささやかれていたウイルス対策に奔走し、それが無事に終了して初めて旅行を満喫できたことを思い出した。一緒に楽しめなかったかわいそうなK美のために、お土産を渡すついでに対処してあげるかと、彼女の家によってから帰ることにした……。
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