AMDの新しいAthlonおよび「Phenom」プロセッサのリリースは、同社が最近投入したビジネスデスクトッププラットフォーム向けのプロセッサラインアップを充実させるものとなる。AMDは、企業向けクライアント分野でIntelとの競争力を高める考えだ。
Advanced Micro Devices(AMD)は2種類の新しい「Phenom」プロセッサに加え、2種類のAthlonプロセッサをリリースした。これらの新製品は、AMDが最近投入した企業向けデスクトッププラットフォーム向けの同社の製品ラインアップを拡充するものだ。
AMDが8月14日に発表した新プロセッサは、ハイエンドのクアッドコア型「Phenom X4 9750B」(2.4GHz)とトリプルコア型「Phenom X3 8750B」(2.4GHz)に加え、2種類のデュアルコア型Athlonプロセッサ「Athlon X2 5600B」(2.9GHz)と「Athlon X2 4850B」(2.5GHz)である。2つのPhenomプロセッサのサーマルエンベロープは95ワットで、Athlon X2 5600BとAthlon X2 4850Bのサーマルエンベロープは、それぞれ65ワットと45ワット。
AMDはこの数カ月、自社のノートPCプラットフォームの宣伝に力を入れてきたが、同社はその一方で、Intelが何年にもわたって支配している企業向けクライアント市場への進出拡大の機会もうかがっている。IDCの最近の調査によると、Intelはデスクトップ市場全体で73%のシェアを保持しているのに対し、AMDの市場シェアは26%となっている。
多くのコンシューマーとビジネスバイヤーは、ノートPCや携帯端末(Apple iPhoneなど)に移行しているが、企業向けデスクトップは依然としてPC市場において重要で利益率の高い分野であり、AMDは企業クラスのプラットフォームを利用して自社のコンシューマー向けPC製品ラインアップの充実を図る考えだ。
4月にリリースされたAMDのデスクプラットフォームは、プロセッサでは24カ月の安定供給、チップセットでは18カ月の安定供給など、企業向けクライアントで求められる仕様を備えている。
またAMDでは、トリプルコアチップは自社の製品ラインにアドバンテージをもたらすと考えている。Phenomは標準のデュアルコアプロセッサよりも優れたパフォーマンスを提供しながらも、ハイエンドのクアッドコアプロセッサよりもコストが低いからである。
一方Intelは、デスクトップ用チップを含む数種類のプロセッサの値下げを実施した。同社は8月11日、2種類のCore 2 Duoデスクトッププロセッサ――Core 2 Duo E8600(3.33GHz)およびE7300(2.66GHz)――を値下げした。
さらにIntelでは、次世代の「Nehalem」マイクロアーキテクチャをベースとしたプロセッサのリリース準備も進めている。最初に投入されるチップ「Intel Core i7」は、ハイエンドのデスクトップとゲーム市場をターゲットとする。これらのCoreチップの最初の製品がリリースされた後、Intelはコンシューマー向けデスクトップと企業向けクライアント用の新プロセッサを多数投入するものとみられる。
新しいAthlonとPhenomプロセッサに加え、AMDは企業クライアント向けに7種類のプロセッサを提供する予定だ。
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