システム管理者向け軽量ディストリビューションの比較Super Review(1/2 ページ)

軽量なシステム管理者向けディストリビューションを携帯することで、軽めのサーバトラブルはすべて解決できるだろう。ここでは、軽量級ながら緊急時に必要なツールの多くを備えたディストリビューションを4つ紹介しよう。

» 2008年09月21日 00時00分 公開
[Cory Buford,ITmedia]
SourceForge.JP Magazine

 トラブルは世の常だ。HDDが壊れたり、サーバが丸ごとクラッシュしたり。幸い、軽めの惨事に対処するためにシステム管理者が利用できるLinuxベースのディストリビューションがたくさんある。この記事では、最軽量の4つ(どれも210Mバイトの8センチCDに収まる)――SliTazParted MagicGParted LiveRIPLinuX――を取り上げ、それぞれの特長を解説する。

 どのディストリビューションも使い方は簡単だ。CDを挿入するか、USBドライブを差し込んで起動すればよい。ディスク、パーティーション、ファイルを管理したり、診断やネットワークのトラブルシューティングを実行したりできる各種のオープンソースツールがそろっている。緊急時に必要なツールの大半がどのディストリビューションにも収録されている。

 最適なシステム管理者向けディストリビューションを選び出すには、幾つかのポイントに着目する必要がある。1つは、起動デバイスのサポートだ。ほとんどのディストリビューションはライブCDから起動、実行できるが、USBデバイスやネットワークPXE(Preboot eXecution Environment)から起動したい場合もあるだろう。また、サイズも考慮すべきポイントとなる。128MバイトのUSBメモリや8センチCDに収まるか、それともDVDが必要か。サイズの小さいディストリビューションを探しているなら、必要なツールやユーティリティに不足がないか確認しよう。最後のチェックポイントは使いやすさだ。GUIを備えたツールはあるか。コマンドラインでしか操作できないツールばかりではないか。システム管理者ならCLIの扱いを苦にしないだろうが、GUIがあれば問題の早期解決に有利だ。それに、GUIの存在はディストリビューションのユーザーベースを大きくするので、結果的にサポートの充実やこまめなアップデートも期待できる。

SliTaz

 SliTazは、本来はデスクトップ管理用のディストリビューションだが、便利なパーティーション操作ツールとリカバリツールも備えている。この記事で紹介する4つのディストリビューションで一番小さいのがSliTaz 1.0だ。サイズはわずか25Mバイト、動作に必要なメモリは128Mバイトにすぎない。SyslinuxベースのライブCD/ライブUSBディストリビューションであり、Joe's Window Manager(JWM)と多数のデスクトップアプリケーション用ツールを基盤とする軽量級デスクトップ環境を備える。最近の記事翻訳)でも紹介したが、SliTazはパワフルな超小型ディストリビューションである。Partition MagicのクローンであるGPartedも含まれているので、パーティーションの作成と調節も可能だ。パーティーションのリカバリツールTestDiskとファイルのリカバリツールPhotoRecは、デフォルトパッケージに含まれないが、ダウンロードして使用できる。デフォルトパッケージに含まれるGrsyncは、TestDiskやPhotoRecでリカバリしたデータをバックアップする際に便利だ。

 システム管理者のほかの仕事に関して、SliTazに多くは期待できない。pingやnetstatのような、基本的なネットワーク関連ツールがあるだけだ。

 SliTazのほとんどのツールは、画像処理、ドキュメント表示、マルチメディア、ゲームなどのデスクトップ用ツールである。ブートからデスクトップまで、特に動作に問題はなかった。全体として、ディスクやデータのリカバリツールを備えたコンパクトなデスクトップOSを探しているならお勧めだ。

Parted Magic

Parted Magic Parted Magic

 Parted Magicは、わずか45MバイトのLinux From Scratch(LFS)ディストリビューションだ。最新バージョン3.0は2.6.26カーネルで動作する。ブートと実行にはライブCD版、USB版、またはPXE版を使用できる。XfceをベースとするGUIはとても美しい。ただし、メモリの要件には注意が必要だ。最新バージョンでライブブート機能が省かれたため、ディストリビューション全体がメモリにロードされる。最低でも300Mバイトのメモリが必須だ。この要件を満たさないPCで使うと、ロードに問題が起きる。一部のプログラムをロードできないか、できたとしてもグラフィカルデスクトップにアクセスできない可能性がある。

 ディストリビューションの中心にあるのはGPartedツールだが、データリカバリ用ツールのTestDiskとPhotoRec、ディスクイメージ作成プログラムのPartition Imageも含まれている。そのほか、Xarchiver(アーカイブ表示/展開)、Xfburn(CD書き込み)、ISO Master(ISOイメージ作成)などもある。テキスト編集にグラフィカルなLeafpad、インターネットのブラウズにFirefoxの最新バージョン(3.0.1)、データのバックアップにGrsyncを使用できる。

 Parted Magicにはコマンドラインツールもあるが、そのほとんどはディスク関連のdd、ddrescue(ディスクリカバリ用)、cfdisk、fdiskなどである。ディスク関連ツールの充実により、ext2、ext3、ext4、FAT16、FAT32、HFS、HFS+、JFS、Linux swap、NTFS、ReiserFS、Reiser4、XFSなど、多数のファイルシステムがサポートされる。また、tcpdumpのような高機能のネットワークツールも用意されている。

 Parted Magicは、想定された用途、つまりファイルシステム/パーティーションの管理・操作・リカバリに使うには素晴らしいディストリビューションだ。GUIのおかげで、平均的ユーザーはもちろんシステム管理者にとってもディスク関連タスクは容易である。

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