タタやロレアル、インテグレーション要らずのOracle AIAでビジネスを加速Oracle OpenWorld San Francisco 2008 Report(2/3 ページ)

» 2008年09月24日 00時05分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 Oracleは、PeopleSoftの買収を皮切りにSiebel、Hyperion、Stellentなどを次々と買収、ソリューションの幅を広げるとともに、特定の業種に特化したソリューションベンダーの買収も進め、深さも併せて「Complete」を追求している。同社は、これらのコンポーネントをリポジトリで管理し、Webサービスのような「Open」で標準的なインタフェースで互いに会話できるように開発を進めている。Oracle製品だけでなく、SAPのようなサードパーティーの製品も自社のコンポーネントと同じように取り込むことができる。

 「しかも、Oracleのソリューションは、箱から出した状態で製品同士が統合(Integrated)されており、顧客がインテグレーションする必要はない。そうでなければ、過去と同じことの繰り返しになってしまう」とフィリップス氏。

インテグレーション要らずの「Oracle AIA」

今やすべての製品開発を統括するロズワット氏

 業種に特化したソリューションの例として、製品開発全般を統括するチャック・ロズワット執行副社長は、テレコム向けアプリケーションを例に挙げた。テレコムは、トップ20社すべてが同社のアプリケーションを採用しているほど、Oracleが強みを見せる業種のひとつだ。

 「2004年までは、ERPしか提供できなかったが、テレコムに特化した技術を持つさまざまなベンダーを買収・統合したことで、サービスフルフィルメントから課金・売り上げ管理といった業界固有の業務も支援できるようになった」とロズワット氏。

 アプリケーションの巨人であるSAPでさえ、テレコム向けのソリューションは、4年前のOracleと変わらずERPしか提供できていないという。

 「われわれには、完全にオープンなSOAフレームワークがある。SAPのERPでさえ、箱から出してすぐに統合できる。コンサルタントに依頼して、アドオン開発し、挙句の果てにアップグレードできなくなってしまうようなことはない」(ロズワット氏)

 ステージには、オランダの通信事業者、KPNが招き上げられ、あらかじめ統合された「Siebel Call Center」と「Siebel Self-Service」、および「Oracle Financials」によって、受注から課金、そしてカスタマーケアまでの一連のプロセスを各コンポーネントが連携しながらスムーズに処理するデモが行われた。KPNでは、通常であれば、12カ月かかるところ、7カ月でサービス開始に漕ぎ着けることができたという。

 こうした「Order to Bill」のような一連のプロセスは、Application Integration Architecture(AIA)の「Integration Pack」として、既に30以上が用意されている。

 Oracle AIAは、さまざまなアプリケーションにまたがるビジネスプロセスをプリビルドで実現する、オープンなアーキテクチャー。AIA製品は、この1年を見るだけでも保険業界向けのニッチベンダーであるAdminServerとSkywireを傘下に収めるなど、買収によってその強化が加速されている。この日も保険業界と公益企業向けの「Oracle AIA Foundation Pack」が発表された。

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