Enterprise 2.0ソフトウェア市場に打撃となる競争激化と景気低迷(2/2 ページ)

» 2008年10月15日 08時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK
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コモディティ化するブログ、Wiki、RSS

 ヤング氏によると、Web 2.0ツールの中でも特にブログについては、企業1社当たりの平均支出額が最も低くなるという。Automatticのブログソフトウェア「WordPress」などのような無償のオープンソースアプリケーションが優れた選択肢を提供しているからだ。一方、Wikiは既に非常に普及しているため、販売拡大を狙うベンダーは価格を下げるしかないとしている。

 2007年には、北米の企業はWikiの導入に平均で1万6100ドルの費用を支払った。2013年までに、企業がWikiの導入に支出する金額は7400ドルに減少するとヤング氏は予想する。Wikiの低価格化を促すのは、やはりコモディティ化である。

 しかしヤング氏によると、短期的には企業向けRSS技術への支出が増加する見込みだ。RSSフィードがWeb 2.0ミドルウェアで重要な役割を果たすようになってきたからだ。長期的には、RSSが徐々にマッシュアップ技術によってリプレースされるのに伴い、RSSへの支出は減少するという。

 同氏によると、マッシュアップは普及率、価格ともに上昇する見込みだ。マッシュアップツールの実装方法をめぐる混乱のせいで、同技術の普及が遅れているのが理由だ。市場の成熟化は、マッシュアップベンダーにとって恩恵となるとして、ヤング氏は次のように記している。

 「2007年のForresterの推定によると、マッシュアップを導入した少数の企業の平均支出額は、配備1件当たり7万6500ドルで、JackBe、IBM、Serena Softwareなどのベンダーが提供するマッシュアッププラットフォームが市場を支配していた。Forresterの予測では、2013年までに、1案件当たりの金額が14万3400ドルへとほぼ倍増する見込みだ」

 ヤング氏は、2009年にMicrosoftのSharePointがアップグレードされるのに伴い、ソーシャルネットワーキング業界が大きなピンチを迎えると予想している。ブログやWikiと同様、ソーシャルネットワーキングも今後5年間で急速にコモディティ化するという。

 コモディティ化という点に関しては、わたしはヤング氏の見解とまったく同意見だが、Web 2.0企業を取り巻く不安定な経済情勢を考えれば、同氏の予測が数カ月中に下方修正されるのではないかという気がしてならない。

 ベンダー各社の企業顧客が人員削減を実施するのに伴い、ブログやWikiに対するニーズも減少するだろう。とはいえ、どの業界でどれだけの人員削減が行われるのかは、現時点では不明だ。

 今後の経済情勢を反映して、Forresterが予測をどう修正するのか興味深いところだ。

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