Enterprise 2.0ソフトウェア市場に打撃となる競争激化と景気低迷(1/2 ページ)

Forrester Researchによると、Enterprise 2.0メッセージング/コラボレーション市場は今後、厳しい状況を迎えそうだ。競争の激化に加え、ブログ、Wiki、マッシュアップ、RSSフィードの飽和化などで企業の支出が減少するが、マッシュアップ技術は今後も成長が見込まれるという。

» 2008年10月15日 08時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 ほんの数週間前までは、Enterprise 2.0の世界は一見、順調に発展しているかのように見えた。ベンダーもアナリストも、最先端のコラボレーション/プロダクティビティプラットフォームの普及拡大に強気な見通しを抱いていた。

 しかしForrester Researchのアナリスト、オリバー・ヤング氏によると、潮流は変わりつつあるという。向こう5年間、ほとんどのWeb 2.0ツール関連の案件の規模が縮小し、契約金額が半分以下になるケースもあると同氏は予測する。同氏の指摘に加え、景気の低迷が現在、技術業界に打撃を与えている状況を考えれば、さらなる支出の抑制が懸念される。

 ヤング氏は、支出減少の原因として「熾烈な競争」を挙げている。

 「わずかな例外を除き、エンタープライズWeb 2.0市場では技術革新よりも改良と統合が中心になってきた。基本的に、ベンダー各社が提供するブログサービスの間には大きな違いが見られなくなり、差別化やプレミアム価格の設定が困難になってきた」

 IBMやSocialtext、Jive Software、Awareness、Near-Timeなど多数のベンダーが同じような製品を販売しており、これらすべてのベンダーがこの市場で生き残ることはできないだろう。

 しかし、わたしがEnterprise 2.0分野のベンダー各社のブリーフィングに行くと、いつも聞かされる話が、Enterprise 2.0の市場がいかに大きいか、そしてこの分野で同じようなソリューションを提供しているベンダーが200社も存在していようが、そんなことは問題ないということだ。

 ヤング氏は指摘していないが、契約規模が縮小する原因はほかにもある。現在の弱体化した経済は、ここ2週間のIT関連株の下落でさらに足下がふらついており、これはWeb 2.0ベースのプロダクティビティ/コラボレーションソフトウェアの売り上げの減少につながるだろう。New York Timesでは、こういった景気低迷の影響について論じている。

 2000〜2001年で見られた状況が、2008〜2009年に再び繰り返そうとしているのだ。

 明るい話もあるが、現在の不動産業界と同様、それはバイヤーにとって明るい話なのである。ヤング氏が指摘するように、Enterprise 2.0は買い手市場になりつつあるのだ。「Web 2.0技術の統合により、何百万というユーザーがWeb 2.0技術をわずかなコスト(あるいは無料)で手に入れるようになり、これまでベンダーが意のままにコントロールしてきたプレミアム価格が消滅するだろう」とヤング氏は述べている。

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