コラム
» 2008年10月23日 16時27分 公開

闘うマネジャー:着実な「業務知識の世代交代」が将来のリスクを減らす (2/2)

[島村秀世,ITmedia]
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COBOLしか知らないからって何も困らない

 「そんなの、県庁でも同じだろう?!」とする読者もおられると思うが、民間から入った筆者が、この8年間見てきた感じではどうも違う。おそらく長崎という中央から遠く離れた地方だからなのだと思うが、10年前までは職員がシステム開発を行っており、人事異動があってもそれなりに引き継ぎができている。プログラムはSE任せの部分が増えているが、システム上の業務知識はそれなりに保持している。また、このような体制であったため、新技術の投入による利便性の向上などは行われずいた。平たく言えば、「現状維持という名の放置」であるが、余計なことが行われていないので、過去のメンバーを呼び寄せ、世代交代の意味も込めた汎用機のダウンサイジングを進めることが可能であった。「COBOLしか知らないからって何も困らない。今、動いているシステムの業務知識を持っているあなたが必要なんです」と言い切れた。

 汎用機のダウンサイジングの進め方には、主に以下の4つがあるといわれている。

  • ラッピング

 汎用機はそのままに、オープン系からアクセスできるようにする。

  • リホスト

 汎用機上のプログラムに変更を加えることなく、オープン系サーバに移行する。

  • リライト

 汎用機上の業務ロジックはそのままに、プログラムを作り直す。

  • リエンジニアリング

 業務フローから見直し、プログラムを一から再構築する。

 結論から言うと、長崎県庁はリホストとリライトのいいとこ取りのような方法を基本とし、部分的にのみリエンジニアリングを行っている。

どこでつまずきそうか、を考える

 なぜ、そうしたかについて説明していきたい。

 ラッピングには、端末をPCに変えてデータ入力部分をWindowsのGUI形式とするが、後の仕組みは従来通りとする方法と、汎用機上にUNIXなどのオープン系OSを載せ、ファイルやDBへのアクセスを行いやすくするなどの方法があるが、いずれの場合も汎用機を中心とした運用スタイルであるため経費削減が見込めない。

 リホストは、単純な入れ替えであるため、データ構造の確認や稼働しているプログラムや不要となっているプログラム等の交通整理が行われず、システム上の業務知識の世代交代が行われない。

 リライトは、PL/1など将来性の全く見えない言語での話で、COBOLはそこまででもない。もちろん、COBOLに将来性があるかと言われれば疑問だが、PL/1と同列とも思えない。

 リエンジニアリングは、根本的な業務フローの見直しから取りかかるが、職員に対してのインセンティブが見込めない行政分野では、目的であるダウンサイジングに至らず、準備段階であるフローの見直しでつまずく危険性が極めて高い。

 そこで、現状のシステムを改めて眺めてみることにした。(続きは次回)

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プロフィール

しまむら・ひでよ 1963年3月生まれ。長崎県総務部理事(情報政策担当)。大手建設会社、民間シンクタンクSE職を経て2001年より現職。県CIOとして「県庁IT調達コストの低減」「地元SI企業の活性化」「県職員のITスキル向上」を知事から命じられ、日々奮闘中。オープンソースを活用した電子決裁システムなどを開発。これを無償公開し、他県からの引き合いも増えている。「やって見せて、納得させる」をマネジメントの基本と考える。


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