Google、有料版「Google Apps」の品質保証を拡大

これまで有料版Google AppsでGmail向けに提供してきた、稼働率99.99%保証のSLAをCalendarやDocsなどにも適用する。

» 2008年10月31日 14時31分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Googleは10月30日、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)のダウンタイム対策として、Google Apps Premier Edition(GAPE)顧客向けにGmailで提供している、稼働率99.99%保証のSLA(サービス品質保証契約)を、ほかのGoogle Appsアプリケーションにも拡大した。

 対象となるのはGoogle Calendar、Google Docs、Google Sites、Google Talk。今回のSLA拡大の2週間前には、Gmailで新たな障害が起き、一部ユーザーでメッセージのやりとりやコラボレーションに問題が起きている。同社は、MicrosoftやIBMの顧客を取り込むクラウドコンピューティング戦略の一環として、顧客向けにAppsをホスティングしている。

 Googleは障害の影響を受けたユーザーの数を明らかにしていないが、前回のGmailの障害の影響を受けたのはGAPE利用者の0.003%未満だと、Google Enterprise製品管理ディレクター、マット・グロッツバック氏は語る。数十万人がユーザー当たり50ドルのGAPEを使っていることを考えると、影響を受けたのは100人未満と言える。

 GAPEは、SLA、強化したセキュリティ、24時間電話サポートなど、Google Apps Standard Editionでは利用できない特典を提供しているが、SLAの拡大は同社がアプリケーションのダウンタイム削減に本気で取り組んでいることを示すものだ。

 Googleのこれまでの障害のほとんどはGmailでのみ起きており、時々オフィススイートのDocsも影響を受けている。SLAをCalendar、Docs、WikiアプリのSites、インスタントメッセージングのTalkに拡大するのは、同社にとっては大きな背伸びかもしれない。

 グロッツバック氏は30日のブログエントリで「当社はこれらの製品すべてにおいて高レベルの信頼性を提供してきた。これらに保証を拡大するのは理にかなっている」と述べている。

 GAPEユーザーには朗報だが、すべてのGoogle Appsユーザーにとってもっと重大なのは、GoogleがSLAでダウンタイム問題への対策に力を入れていることと、さらなる情報開示を約束していることだ。さらに同社は8月の障害の際に、GAPE向けにクレジットを提供した。

 グロッツバック氏はまた、Google Appsの名誉のために時間を割き、過去1年間、同サービスの月間のダウンタイムは合計でわずか10〜15分だったと主張した。

 同氏は調査会社Radicati Groupのデータを引き合いに出している。それによると、Microsoft、IBM、Novellのオンプレミス(自社運用型)電子メールソリューションでは、1カ月につき予定外のダウンタイムは平均30〜60分、さらに予定内のダウンタイムが36〜90分ある。グラフはこちら

 Microsoftが10月28日にProfessional Developers Conference(PDC)で落とした爆弾のことを考えると、GoogleがSaaS対オンプレミスのお決まり比較を引き合いに出さなければならないのは皮肉なことだ。MicrosoftはOfficeのSaaS版開発を発表して業界を驚かせた。

 eWEEKのジョー・ウィルコックスはこのニュースを取り上げている。Microsoftがこうした動きに踏み切ったのは、クラウドコンピューティングによるプロダクティビティソフトやコラボレーションソフトの利用が増える中で生き残る力を維持したければ、SaaSにおいてGoogleと戦わなくてはならないということをついに認めたためだ。

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