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Google Appsサービス障害、Googleの対応は

» 2008年08月29日 16時59分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Google Appsチームは顧客からの苦情を受け、先日Google Docs、SitesなどのAppsサービスで数度起きた障害の影響を受けた有料サービス顧客向けに、サービス品質保証契約(SLA)クレジットを延長する。

 Googleは電子メールで、8月分として、サービスを15日間延長できるSLAクレジットをすべてのGAPE(Google Apps Premier Edition)顧客に提供すると説明している。SLAクレジットは、更新を申し込んだ顧客の新たなサービス契約に自動的に適用される。

 これはGoogleが最低限できることであり、わたしは同社が顧客の事業の逸失に対する補償に乗り出したことを喜ばしく思う。だが、このクレジットはサービス障害によるGAPE顧客の損失に見合う補償なのだろうか。それは分からない。

 8月6日から7日にかけての15時間、それから11日、15日に、多数のGoogle Appsユーザー――その一部はGAPEに年額50ドルを払っている――が「アクセス障害」のため、Google AppsとGmailから締め出されたことに気付いた。

 Google Apps Discussion Groupフォーラムでは複数のユーザーが、顧客、パートナー、サプライヤーとのやりとりをGoogle Appsに頼っていいのだろうかという疑問を呈した。

 このサービス障害は、事業経営のプラットフォームとしてインターネットに依存できるのかという、広範にわたる疑念を投げ掛けた。アナリストは、この障害はSaaSという新しいパラダイムに伴う成長痛の一環だとしている。

 わたしも同感だ。どのようなコンピューティング環境でも障害は起きる。ただし、SaaSではより人目に触れやすい。クラウドコンピューティングは新しく、SaaSアプリケーションで優れた実績を持つSalesforce.comをはじめとする新興企業のエコシステムを生み出しているからだ。

 Googleに必要なのは、このようなサーバの問題から学び、それを修正し、問題の状況や復旧時期などをより適切に顧客に開示し、最新情報を伝えることだ。Appsの障害の際にはそれができなかった。

 このため、同社は電子メールで、「障害発生の際の情報伝達の向上」に取り組んでいるとも述べている。

 同社はAppsユーザーにシステムのステータス情報を知らせるダッシュボードを構築している。問題やユーザーへの影響を説明するためのもので、数カ月以内に提供開始の予定。

 障害が発生している最中は、問題の解決に集中するべきだというのが当社の信条だ。問題解決には反復的な調査プロセスが必要だ。問題が解決するまでは、特にユーザーにとって有用な、原因についての正確な情報が得られないし、まして対応することもできない。こうした現実から考えると、問題が起きていることをユーザーに知らせること、当社が問題解決に取り組んでいることを明らかにしてユーザーを安心させることは有益だ。

 ダッシュボードには、解決までの推定時間が掲載され、頻繁にアップデートされる。問題解決から48時間以内に、正式なインシデントリポートも載る。

 インシデントリポートは、ユーザーへの影響と原因に重点を置き、ビジネス面、技術面から問題を解説する。問題解決のために取った対応、再発防止のために実施した、あるいはこれから実施する対策、障害の経緯も説明する。

 わたしの意見では、クレジットよりもこの対策の方が素晴らしい。ビジネスを動かす上では情報が最も重要だ。ユーザーは、情報がなければ暗闇の中で何も見えずにうろうろしているようなものだと指摘してきた。

 障害が起きたとき、Google Appsのディスカッションボードでユーザーが求めていたのはお金ではなかった。彼らはいつ問題が修正されるかという情報と、このような問題はもう起きないという約束を求めていた。

 常時更新されるダッシュボードというアイデアはいいと思う。意地悪を言うつもりはないが、ダッシュボードがSaaS式だったら、ダウンしたときにどうなるのだろうか? ダッシュボードのバックアップはあるのだろうか?

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