クラウド普及は不景気に加速する、しかしもうからないオルタナブログ通信(2/3 ページ)

» 2008年11月07日 20時40分 公開
[森川拓男,ITmedia]

サイゼリヤ返金とネットの闇

 レストランチェーン「サイゼリヤ」は、メラニンが混入されたピザを提供してしまった件について、「レシート無しでも返金に応じる」という対応を行った。すると、ピザを食べていないのに返金を要求する事件が続出(関連記事)、しかも当事者はそれをネットで自慢していたというのだからあきれるばかりだ。

 この件に関して、複数のオルタナブロガーが取り上げた。

ブロガー ブログ名 エントリー名
新倉茂彦氏 新倉茂彦の情報セキュリティAtoZ ピザを食べてないのに、食った(かもしれない)から返金を求める←最近の日本の縮図に見えるのです
吉田賢治郎氏 けんじろう と コラボろう! 次女の通う高校の上級生がミクシーに書いた「サイゼリヤでピザ代の返金詐欺自慢」が学校裏サイトで話題に
川上暁生氏 ITコンシェルジュの Try ! & Error ? サイゼリアの返金謝罪の影で...

 それぞれの立場から書かれているが、新倉氏の「日本の縮図が見え隠れしている」という指摘、そして川上氏の「ごまかしは、一瞬の得にもならない」という言葉にもうなずかされた。その一方で、吉田氏が紹介した学校裏サイトでは膨大な批判コメントが付き、自浄作用が働いているという現状に、どこかホッとした。

 今回のサイゼリヤの件では、詐欺を行った当事者がネットに自慢話を書いたことが表ざたになったキッカケだった。ネットが暴いたといえる。

 しかし、ネットには闇の部分もある。例えばスティーブ・ジョブス氏死亡の偽ニュース。山口陽平氏「一般システムエンジニアの刻苦勉励」の外国為替市場にインサイダー取引はあるのだろうかは、その裏にある謎を推理している。風説の流布かと思われたが、犯人は、ITmedia海外速報部・広瀬麻子氏「海外速報部ログ」の「ジョブズ危篤」の偽ニュース、犯人は18歳に書かれたとおり。もしいたずらだとしてもタチが悪い。

 サイゼリヤの件も、ジョブス氏死亡の件も、犯人は軽い気持ちで行ったのかもしれない。想像力が欠如しているとしか思えない事件が多発しているのは、ネットに存在する闇のせいかもしれない。

 その闇が助長するものの1つに、スパムメール用のメールアドレス収集がある。川上氏のメールアドレス自動収集ソフトに対抗するでその対応策を考察しているが、イタチごっこが終わる日が来るのかどうか……。

Windows 7は2009年に完成か?

 ITmedia海外速報部・広瀬麻子氏「海外速報部ログ」のWindows 7は2009年10月完成?によると、Windows 7が2009年10月には完成するだろうという噂がある。

 広瀬氏同様、筆者もこれには疑問を感じる。広瀬氏も指摘するように、現在プレβのものが、たった1年で完成しているだろうか。やはり、Vistaが思うようにいっていない焦りがあるのだろうか。今後の動向に注目したい。

Twitterの台頭とSNSの行方

 いち時期SNSのmixiが話題になっていたが、最近はどうだろうか。筆者自身を振り返ってみれば、ここしばらくアクセスすらしていなかった。田中晃氏「『Internet & Mobile』 ア・ラ・カルト」のSNS・・・どうなのよ!?ねとらぼ『ユーザーの55% SNSへの興味無くなってきた』を読んで思う事。を読むと、mixiどころか、SNS全般への関心が薄れたユーザーが多くなったという。

 その1つの理由として、大木豊成氏「走れ!プロジェクトマネージャー!」のmixi vs twitter それとも両方?にあるように、Twitterを利用するようになって、mixiの頻度が落ちてきたという人もいるのかもしれない。いくら便利なサービスであっても、新しく面白いものがあったら、徐々にそちらへ移行してしまい、その結果、旧来のサービスの利用頻度が落ちるというわけだ。

 ITmedia海外速報部・広瀬麻子氏「海外速報部ログ」のTwitterはNetscapeになるかでは、1年間でTwitterのアクティブユーザーが7倍に急増したことを紹介。ただし、Netscapeと同じ運命をたどる可能性についても、合わせて紹介している。確かに、現在は急成長を遂げているTwitterも、大手が同じようなサービスを開始した場合どうなるのか、気になるところだ。

 とはいっても当面はTwitterの独走が続くだろう。そんな中で、吉川日出行氏「ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦」のTwitterでの自分の影響力を測るTweetburnerというサービスを利用する提案もなされている。自分のつぶやきがどれだけ見られているのか。測ってみるのも一興だ。

クラウド普及は不景気に加速する、しかしもうからない

 最近のキーワードとして急浮上している“クラウド”。マイクロソフトでさえもクラウドコンピューティングに進出したことは、小林啓倫氏「シロクマ日報」の【書評】『マイクロソフト ビル・ゲイツ不在の次の10年』、ITmedia海外速報部・澤由紀子氏「海外速報部ログ」のWindows Azure――雲ひとつない紺碧の空という名の雲サービスでも紹介されたとおり。

 林雅之氏「『ビジネス2.0』の視点」の不景気になるとクラウドサービスの普及が加速するという話によると、不景気になると初期コストや運用コストが安価なクラウドが導入されるという。そういう意味では、金融危機で世界的な不況のいまは、クラウド普及の好タイミングなのかもしれない。その一方で、内田隆平氏「日本のITは世界を制す!?」のクラウドコンピューティングは儲からない?では、クラウドはもうからないというオライリーのブログからアメリカで論争になっていることが紹介されている。果たして何が正解なのか。内田氏が指摘するように、「クラウドで何をするか」を議論していかないと、あやふやなものになり、それこそ雲をつかむようなことになりかねないだろう。

 言葉ひとつをとってもそうだ。谷川耕一氏「むささびの視線」のXaaSは普及しないんじゃないかなは、なかなか納得させられるエントリーだ。まずは言葉が定着しなければ。

 クラウドが企業で定着するためにはどうすればいいか。関孝則氏「クラウド的な世界へ」のSLAでの信頼と実績での信頼や、林雅之氏「『ビジネス2.0』の視点」のSaaS・ASPの信頼性向上に向けた政府の取り組みで紹介されている政府の取り組みにも、注目すべきかもしれない。林氏は、メモ:「クラウド」を無視し続けることこそが経営の最大のリスクとなるというエントリーも書いていて、実に興味深かった。あわせて、クラウド普及の課題(1) セキュリティも読むと参考になりそうだ。

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