MSのExchange Onlineに前向きな中小企業

月額料金制のExchange Onlineを、中小企業の経営者は前向きに受け止めているが、「小さ過ぎ、遅過ぎる」という声もある。

» 2008年11月21日 15時16分 公開
[Nathan Eddy,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftのビジネス部門社長スティーブン・エロップ氏は11月17日にサンフランシスコで開催した発表会で、2007年10月にExchange Onlineを大企業向けに限定リリースして以来、ユーザーは既に50万人近くに上っていると語った。この発表会で、同サービスは初めてすべての中堅および小規模企業に公開された。

 エロップ氏は、今回の立ち上げで、Microsoftのクラウドコンピューティング需要への対応は「次の世代へ移行する」ことになると認めた。GoogleやSalesforce.comなどの企業との競争は激化している。この2社は、ユーザーがインターネットからITサービスを利用できるクラウドコンピューティングを基盤にしたアプリケーションを提供している。

 米eSecurityToGoのトム・ルフォーロ社長は、Microsoftは確かにクラウドコンピューティングの分野に参入する必要があるとし、同社の製品は中小企業(SMB)にとって魅力的なものであるべきだと語る。しかし同氏は、小規模企業は追加のセキュリティ対策が必要かもしれない点に気をつけるべきだと注意を促し、ほかのベンダーを検討するよう勧めている。「SMB全般について言えば、ホスティング型ソリューションは理にかなっているが、適切なセキュリティ対策と組み合わせなければならないと思う」と同氏。「企業のニーズと関心の対象にもよる。セキュリティは制御がすべてだ」

 同氏は小規模企業のオーナーとして、Microsoftの発表はSMBに恩恵をもたらすと楽観的に考えている。「全般的に言うと、われわれはSaaSソリューションを支持している。有益な面がたくさんあるからだ」と同氏。「マーケットは理にかなうのならいつでもどこでも高速なソリューションを提供する方向へ進んでいる。そして、SMBにとっては理にかなっていることが多い」

 Microsoftはサービスを1年間提供し、自動的に契約を更新する。Exchange Onlineはユーザー当たり月額10ドル、SharePoint Onlineは同7.25ドル、LiveMeetingは同4.50ドル。

 Business Productivity Online Suite(BPOS)には「Office Communications Server Online」も含まれる。同製品は現在β版で、2009年春に正式リリースの見込み。利用料はユーザー当たり月額2.50ドル。

 米Streamline Solutionsのアーロン・オズグッド氏は、今回の発表は特に、小規模な「ワンマンブランド」企業に朗報だと話す。銀行が融資を凍結しているときに、新興企業がお金を節約できるからだという。「コストの点から参入障壁を低くしてくれる。よそでホスティングする方が安上がりだ。社内でホスティングしないため、社内の技術サポートが不要だからだ」

 Microsoftが今回の発表を「次の世代への移行」と主張しているにもかかわらず、オズグッド氏は、Microsoftにしては小さ過ぎるし、遅過ぎるかもしれないと考えている。「Microsoftはまたしても脇役に甘んじているか、少なくともそうしようとしている」と同氏は言う。「同社は革新の点で競争力を失った。ソフトウェア企業ではなく、マーケティング企業だ」

 同氏は、それでもExchange OnlineがSMBにとって有用そうだということは認めている。一部の小規模企業は今も、Googleの広告モデルに懐疑的だ。Microsoftのなじみのあるインタフェースは競争上の優位性になると同氏。

 「SMBにとってはほとんど自動だ。PCを買えば、Microsoft OfficeにOutlookの何らかのバージョンが付いくる。OutlookはExchangeとスムーズに連係する」と同氏は語る。「GoogleのWebベースのインタフェースを選ばなくてはならない場合、使い方を学ばなければならない。Microsoftではそれが不要だ」

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