「資産としてのIT」――だからこそ大切に、そして活用は戦略的に「2009 逆風に立ち向かう企業」マイクロソフト(1/2 ページ)

マイクロソフトの執行役常務の佐分利ユージン氏は、ITは企業の資産であると定義し、プラットフォームベンダーとしてその活用をサポートしていくことが責務であると宣言する。

» 2009年01月09日 00時00分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

ひたすら下降線を描く市場経済は、どの企業にも暗い影を落としていく。IT投資も減速の一途をたどり、2009年はわれわれ誰もが経験したことのない暗闇としてしか見えてこない。だが、マイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当 佐分利ユージン裕氏は、不況の波に揉まれた顧客の声が響く立場から、逆境時代こそ資産としてのITの活用が重要になり、ベンダーは顧客の「痛み」を理解しながらそれに応えなければならないと語る。

マイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当 佐分利ユージン裕氏

ITmedia ビジネス&マーケティング担当に就いて2年半ほどが経ったそうですが、特に2008年のユーザーの声はどのように聞こえてきましたか。

佐分利 米国に端を発した世界経済の悪化をはじめ多くのネガティブなニュースが駆け巡った2008年でしたが、特にここ数カ月で、多くの企業が想像以上に厳しい状況まで追い込まれているという危機感を感じています。さらに12月から1月にかけて国内企業では、会計年度の終わりに向けて、売上減を補うためのコストの調整が行われたり、予定されていた投資計画の見直しなどが行われるため、より一層の停滞感が漂っているようです。われわれが属するIT産業も当然この影響を受けており、何もかも「一律カット」の対象としてIT投資が含まれてしまっていることは事実です。

ITmedia そのような状況下で、2008年の厳しさの本質とはどのようなものであったと考えますか。

佐分利 こういった厳しさに直面した時期こそ、置かれた環境へダイナミックに対応していくことができたかが重要なポイントだと思います。当初のプランをそのまま進めていくのではなく、必要な軌道修正を迅速に行って攻めに回れるかということですね。一律カットという守りの方法も選べますが、それは短期的な視点でのみ推し進められがちで、中長期にかけての影響が懸念されます。まして今後はグローバル化、そして日本は少子高齢化による労働力低下という問題も抱えており、ITによる競争力強化や企業力向上は必須の課題です。われわれは景気が減速する以前からも、戦略的な資産としてのITをご提案してきました。この時期だからこそ、そうした考え方がそれぞの企業において重要であるということをここでぜひ訴求したいと思います。ITをコストとして削減するよりも、いかに活用して切り抜けていくかが生き残りの分岐路になるでしょう。

ITmedia 投資を緩めない動きをすべきなのでしょうか?

佐分利 IT投資の対象はハードウェアやソフトウェア、サービスなどさまざまですが、国内企業ではここ数年間、8割が既存システムのメンテナンスに使われ、残り2割が新規投資という比率で推移しています。2009年以降もこのままだと、IT活用の度合いは上がらないという状況が続くでしょう。問題は予算全体額の増減ではなく、その構成を考慮した配分を戦略として行っていくことが必要なのです。

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