「資産としてのIT」――だからこそ大切に、そして活用は戦略的に「2009 逆風に立ち向かう企業」マイクロソフト(2/2 ページ)

» 2009年01月09日 00時00分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]
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ITmedia 以前から、特に中堅中小企業では、IT化はしたいがコストはかけられないというジレンマがあります。その際にオープンソースという選択肢がありますが、プラットフォームベンダーとしての考えは?

佐分利 専任のIT管理者を置くことができない企業では、オープンソースの利用は運用管理保守の面で難しいものになると思います。何か問題が起きたときにベンダーが対応してくれるという担保がないと、業務のシステムとして信頼できないということになってしまいます。IT化を進めたいが初期投資ができないという企業では、ホステッドサービスなどを積極的に利用していくような戦略も有効でしょう。こうしたサービスとして「Business Productivity Online Suite(BPOS)」などの提供を予定しています。

 こうした世情ですから、どの企業もITコスト削減の手法を模索しています。われわれはこれに応えるべく、昨年12月からその名も「Save Money.キャンペーン」を展開しています。単純な節約でない、攻めの姿勢で苦境を乗り切るためのITを、仮想化や業務効率化などいくつものシナリオで紹介し、プロモーション展開を行っていきます。顧客の痛みにダイレクトに対応できるベンダーを目指した取り組みです。

ITmedia エンドユーザーのPC買い控えや企業の投資凍結といった状況が起こりうる中で、プラットフォームベンダーは2009年、どのような姿勢で向き合っていくことが求められているのでしょう?

佐分利 われわれのビジネスポートフォリオは常に変化拡大をしてきました。80年代はツールでのビジネス、90年代前半にはOS、2000年に入ってからはクライアントアプリケーション、そしてサーバ製品と変化をし続けてきました。こうした成長のための投資は引き続き行っていかなければならないと考えています。さらに今後、クラウドコンピューティングが進んでいく中では、それに合わせたソリューションも提供していきます。このまま現状のビジネスがただ進んでいくことなどあり得ませんから、クラウドを含めて次の世代にふさわしいテクノロジーを模索しつつ、さまざまな方向を見据えながらまい進していくつもりです。

ITmedia 企業はクラウドをどのように捉えていけばよいのでしょうか。

佐分利 今はまだそれぞれの企業で取り組み方を試行錯誤しているという段階であり、正しいやり方というものは見えていません。今後10年あるいは15年という月日をかけて、緩やかに成熟と移行が進んでいく分野であると思っています。ただし、現在のサーバクライアント型のシステムが消滅するわけではなく、それにクラウド型が新たに付け加わるというイメージになるでしょう。特に金融や交通などミリ秒単位でのレスポンスを要求するミッションクリティカルな分野や、あるいは通常の企業でもコンプライアンス上の問題などから、オンプレミスモデルが引き続き利用されていくことは間違いないでしょう。ですから、現在利用しているシステムの存続をそれほど危惧する必要もありません。インターネットがPCの使い方を拡大してきたように、クラウドがコンピューティングの活用をさらに広げていくという表現が適切かと思います。

ITmedia 2009年にやりたいことは?

まずは、Windows 7のローンチに向けてさまざまな活動を行うというのがメインのタスクになりますね。個人的には、ワークライフバランスで、家族とともに過ごす時間を大切にしたいと思っています。それから、読書の時間ももっと取りたいですね。少し手をつけただけで積んでしまっている本がたくさんあるので、それらの読破を目標にしたいと思います。

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