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» 2009年01月13日 08時00分 公開

「2009 逆風に立ち向かう企業」サイボウズ:売るのはソフトではない、「チームワーク」だ (1/2)

企業情報の共有/活用は、ビジネスの礎である。グループウェア大手、サイボウズの青野社長は自社のコアコンピタンスを「チームワーク」に据え、エンドユーザーに価値を提供するという。

[石森将文,ITmedia]

 「景気が冷え込んでいる今だからこそ、ピンチをチャンスに」――そう話すのはサイボウズの青野慶久社長。“SaaS”というアプリケーション提供形態が浸透化する中、外部の顧客満足度調査で常に高い成績を挙げるなど、着実にグループウェア市場をリードする同社がエンドユーザーに提供する価値について、話を聞いた。

青野社長 サイボウズ 代表取締役 青野慶久社長。中堅・中小企業における国内グループ市場でシェア1位を2年連続獲得(ノークリサーチ「2008年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」において)しつつも、「いつ抜かれてもおかしくない。既存ユーザー向けの施策を拡充する」と気を引き締める

ITmedia 2008年を走り抜いた振り返りをお願いします。

青野 今年は人材の拡充を重視しました。特に新卒の獲得には力を注ぎましたね。若い社員は“サイボウズらしい社員”に育成しやすいということもあります。サイボウズらしさとは、「チームワーク重視」「誠実さ」といった要素になります。

ITmedia 育児支援制度が評価されたり、ポスドク採用枠を設けたりするなど、独自の人事施策も目立ちました。

青野 実は、「ポスドク」という存在についてあまり意識したことがありませんでした。でもあるきっかけで、博士課程を修了した人材でも就職が難しい、ということを知り「それはもったいない!」ということで、採用に力を入れ始めました。専門知識を持ちつつ、新卒としてサイボウズらしさを吸収してくれるという意味で、新卒と中途採用の良さを兼ね備えた人材だと考えています。

 また、昨今就労問題も取りざたされていますが、時代に合わせた働き方、ワークライフバランスを提言したいですね。サイボウズでは「ワーク重視」や「ライフ重視」といった人事制度をスタッフが選択できます。そしてそれは、結婚や子育てといった生活環境の変化に応じ、再選択できます。人事施策を設けるだけでなく、選択肢を与え、自主的に選んでもらうこと。これが重要です。

ITmedia 厳しい経済環境のなか、サイボウズを取り巻くビジネスの状況をどのように捉えていますか。

青野 サイボウズでは、直販の割合はごく少ない。主体はパートナー経由のビジネスになります。われわれがアプリケーション、グループウェアの開発に特化するという形で、ライセンスだけ提供する。このビジネスは2008年も順調に伸びました。

 ただ、製品の提供は順調でしたが、「使い方」を伝えられていないなという反省があります。エンドユーザー自身の試行錯誤に委ねてしまっている面があるのです。限られたIT投資の中でサイボウズ製品を選択してくれたユーザーのためにも、既存顧客マーケティングに力を入れたいと考えています。

 日本市場における競合としてはノーツやExchangeなどが挙げられます。どちらも強大です。では、なぜそこでサイボウズが実績を挙げられたのでしょう? 理由は1つです。それは、競合の製品を利用しているユーザーが、サイボウズに乗り換えてくれるからですね。それまで使っていたグループウェアには、「使いにくい」「使わない」という評価をされてしまう状況が、市場にはあったのです。

 と同時に、サイボウズがいつ競合に抜かれてもおかしくない、ということでもあります。既存ユーザーが本当に使ってくれているだろうか? 満足しているだろうか? ということの把握と解決のため、施策を打ちます。

 具体的には、カスタマーサービス部に、既存ユーザーへの対応を専門とするチームを設けました。ユーザーに対し、メールや電話でわれわれから定期的にアプローチします。そして、うまく使えていなかったり、満足していなかったりするユーザーをフォローしていきます。これからユーザーの中では、Googleカレンダーなども選択肢に入ってくるでしょう。この施策はそういった無料サービスに対する差別化にもなります。

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