2009年のIT支出は減少へ――Forrester Research調査景気後退とドル高で

Forrester Researchの最新レポートによると、世界的な景気後退とドル高により、2009年の全世界のIT支出は3%減少する。

» 2009年01月16日 17時45分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Forrester Researchの最新レポートによると、世界的な景気後退とドル高により、2009年の全世界のIT支出は3%減少するという。企業は2009年、ストレージ、セキュリティ、ソフトウェアライセンスへの支出を続けるが、サーバシステムやデスクトップ、ノートブックの購入は控えるとForresterは予測する。一方、Intelは今週末、直近の四半期決算を発表。またNvidiaはさきごろ、営業部門の人員削減を明らかにした。

 米Forrester Researchが1月13日に発表した最新の調査レポートによると、世界経済の低迷とドル高の影響を受け、2009年のIT支出は前年比3%減少し、企業はデスクトップやノートブック、サーバシステム、その他のハードウェアの購入を控える。

 2008年はドル安の追い風を受けて、全世界のIT支出は前年比8%増と好調だったが、Forresterによると、世界的な不況と強いドルの復活により、今年のIT支出は世界全体で前年比3%減の1兆6600億ドルになる見込みだ(レポートは全世界のIT支出をUSドルで計算)。

 IT市場そのものは、IT支出が9%増と予想される2010年に復調する見通しだが、当面、一般企業はデスクトップやラップトップ、サーバシステムといったハードウェアの購入を控え、大企業はERPなどの大型プロジェクトの実装を遅らせるだろう。

 その一方で、Forresterのアナリスト、アンドリュー・バーテルズ氏によると、企業はストレージ機器とセキュリティに不可欠なソフトウェアの購入は続けるという。また、世界的な景気後退局面にあっても、企業はソフトウェアライセンスへの支出は継続する、と同氏はみる。

 「ストレージは従来アップダウンの変化が大きいカテゴリーの1つだが、いずれにしてもストレージは今後も引き続き拡張していかなければならない」とバーテルズ氏。

 「ストレージは恒常的に増加するため、この分野はすぐに復調するだろう」と同氏は語り、さらにこう付け加えた。「もう1つの力強い分野はソフトウェアだ。その理由として挙げられるのは、メンテナンスやサブスクリプションといった収益の柱が成長を維持している点。またセキュリティ関連のソフトウェアや、長期的にコスト削減を図るためのソフトウェアも、企業にとっては必要不可欠なものとなっている」

 企業は2009年、ソフトウェアに3880億ドル支出する見込みだ。ネットワーキングやルータ、スイッチ、その他のハードウェアに対する支出は、それより3%少ない3530億ドルになるという。またPCやサーバ関連への支出は4%減の4340億ドル、ITサービスへの支出は3%程度のマイナスになると予想される。

 このように2009年の見通しはあまり明るくないが、IT支出の落ち込みはハイテクバブルがはじけた2001年や2002年のときほど激しくはならないだろう、とバーテルズ氏は言う。それらの年は、いずれもIT支出が6%減少した。

 Forresterの最新レポートが注目を集める中、IT支出のメジャーな先行指標であるIntelは、1月15日の第4四半期決算発表の準備を進めていた。同社は今月初め、同期の収益予想を82億ドルと発表した。この数字は昨年11月の予想を90億ドルも下方修正したものだった。Intelは10月当初、第4四半期の収益予想を101億ドルから109億ドルとしていた。

 こうしたIntelの悲観的な予想に加え、Nvidiaも1月13日、第4四半期の収益が前期比40%ないし50%のマイナスになるとの見通しを発表した。

 NvidiaやIntelは、デスクトップとノートブックの需要が落ち込んだことが不振の原因と説明するが、バーテルズ氏も企業と消費者の双方でラップトップの購入意欲が減退したと指摘する。2008年は消費者向けラップトップの旺盛な需要と世界的なドル安があいまって、PCの販売を押し上げ、海外市場の成長は、IntelやNvidiaとともにHewlett-PackardなどのPCベンダーにも業績向上の恩恵をもたらした。

 一般に、ドル高はIntelやHP、Dellといった米国をベースとするベンダーの収益に打撃を与え、ユーロ安はSAP、Ericsson、Nokiaなど欧州に拠点を置くベンダーの追い風になる。もしこの先、ユーロがドルに対して強くなれば、こうした状況は再び変化するだろう。

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