Windows 7でVistaの先を見据えるMicrosoft「正しい方向に進んでいる」(1/2 ページ)

Windows 7のファーストβエディションは、MicrosoftがWindows Vistaの失点を挽回するために正しい方向に進んでいることを明確に示している。

» 2009年01月22日 14時34分 公開
[Andrew Garcia,eWEEK]
eWEEK

 MicrosoftがリリースしたWindows 7のファーストβを見ると、このバージョンはWindows Vistaに導入されたさまざまな機能を継承しながら、新たにエンタープライズ機能を追加したオペレーティングシステムであることが分かる。Windows 7の改善されたスタートメニューとタスクバーは、VistaやXPのものより優れている。だが、いくつかのタスクで、ユーザーはサードパーティのアプリケーションに依存しなければならない。

 Windows 7のファーストβエディションは、MicrosoftがWindows Vistaの失点を挽回するために正しい方向に進んでいることを明確に示している。

 まだ正式版がリリースされたわけではないが、Windows 7はコアの部分でWindows Vistaと非常によく似ており、Vistaに導入されたときは未消化だった機能を巧みに取り込み、いっそう直感的で柔軟性の高いユーザーエクスペリエンスを実現している。

 Windows 7はエンタープライズユーザー向けの新機能をいくつか搭載する。例えば、ファイルキャッシングのBranchCache、VPN代替技術のDirectAccess 、直ちに利用できるBitLocker(この機能については次回詳細に取り上げる)などだ。Windows 7の主眼は、コンピュータを利用するユーザーに、最新の手法でより優れたエクスペリエンスを提供することである。そしてワークフローや組織に重点を置いたWindows 7の革新性は、膨大な数のウィンドウやアプリケーションを操作しなければならないヘビーユーザーに、このオペレーティングシステムをいっそう魅力的なものとしている。

 わたしは2.6 GHz Intel Core 2 Duo T9500プロセッサと3GBのRAMを搭載したDell XPS M1330(Windows Experienceスコアは3.0、ディスクドライブを最小公分母として)上で、64ビット版Windows 7にかなりの時間を費やした。また、VMWare ESXiベースの仮想インスタンスに32ビット版Windows 7をインストールし、同様にさまざまな点をチェックした。

新しいタスクバー、スタートメニュー、デスクトップ

 Windows 7でまず最初に目に付く改善点が、タスクバーとスタートメニューの大幅な変更だ。Microsoftは新しいバージョンが出るたびに、デフォルトのデスクトップエクスペリエンスのルックアンドフィールを変えてくるが、わたしはたいてい数分以内に“クラッシック”テーマに切り替えていた。

 ところが今回、わたしはWindows 7のルックスを気に入りつつある。これは幸運なことかもしれない。というのも、Microsoftは明らかに過去との決別をはかっているようで、Windows XPやVistaのときと異なり、古いルックスに切り替える方法を難しくしているのだ。

 Windows 7のタスクバーは、実行中と待機中のアプリケーションの区別を一部取り払った。ユーザーはタスクバーのアイコンで待機中のアプリケーションを実行、表示することができ、実行中のアプリケーションは開いたウィンドウで選択できる。Windows Vistaの場合と同様、ユーザーがタスクバーのアイコンの上にカーソルを置けば、そのアプリケーションのウィンドウのサムネイルとダイアログボックスが表示される(デフォルトでは、特定のアプリケーションに対して最大10個のサムネイルが表示され、それ以上はリスト表示となる)。

 Windows 7の場合、そのサムネイルにカーソルを置くと、該当するウィンドウがフルスクリーンでプレビューできるようになった。またサムネイルの小さな赤い×マークをクリックすれば、ウィンドウをクローズできるようになったのだ。

 Windows 7はデフォルトでタスクバーに3つのアプリケーション(Internet Explorer、Windows Explorer、Windows Media Center)を表示する。もちろん他のプログラムへのショートカットも、タスクバーやスタートメニューに置くことが可能だ。また、タスクバーのアイコンは自由に並べ替えできる。Windows 7はデフォルトで、タスクバーに置かれたアプリケーションを起動できるキーボードショートカット(例えばWin+1など)を、左から右へ自動的に作成する。

 Windows 7はまた、ジャンプリストというコンセプトを導入した。基本的には、アプリケーション固有のリンクを並べたものである。例えば、タスクバーのIEアイコンを右クリックすると、ブラウザの履歴を表示し、最近アクセスしたサイトへすぐにジャンプできるようになっている。同様に、Microsoft Wordのアイコンを右クリックすると、最近開いたドキュメントのリストが表示される。

 この機能は確かに便利だが、いくつか欠点もある。アプリケーションによっては、ジャンプリストをカスタマイズできれば、と思うことがある。実際、IEのジャンプリストには、履歴よりも、むしろお気に入りを表示したいところだ。またサードパーティのISVは、ジャンプリスト機能を自社製品に組み込む必要があるだろう。現時点でFirefoxやAdobe Readerなどのアプリケーションは、このハンディなショートカット機能に対応できていない。

 一方、スタートメニューはWindows Vistaのデフォルトとよく似ている。左側には、最近利用したアプリケーションの実行リストがある(ここにショートカットを置くことも可能)。右側にはDocuments、Music、Picturesなどのパーソナルフォルダや、Control Panel、Computerといったシステムフォルダなど、よく利用するフォルダへのリンクがある。ユーザーはスタートメニューをカスタマイズして、それらのリンクを変更することも可能だ。

 ユーザーはまた、ウィンドウをどれほどたくさん同時にオープンしていても、簡単にデスクトップを表示、あるいはアクセスすることができる。タスクバーの右端にShow Desktopボタンがある。そのボタンにカーソルを移動するとデスクトップのプレビューが表示され、クリックするとデスクトップにストレートにアクセスできる(再度クリックすると元の状態の画面に戻る)。

 もっとも、新しいタスクバーとスタートメニューがあれば、特にデスクトップに戻る必要はないように思える。わたしはタスクバーを日常的に利用するアプリケーションへのリンクで構成し、スタートメニューは頻繁に利用しない第2グループのアプリケーションを置いた。残念なことに、サードパーティのアプリケーションはいまだにデスクトップ上にショートカットリンクを散乱させてしまいがちだが、Window 7がそれなりの市場シェアを獲得すれば、そうした傾向もなくなるだろう。

 デスクトップがすっきりすれば、ガジェットを置くスペースができる。Windows Vistaでは、ついにテイクオフしなかった機能である。Vistaでは、ガジェットはサイドバーに閉じ込められていた。このサイドバーが曲者で、大量のシステムリソースを消費し、デスクトップ上に占める面積も大きかった。だが、Windows 7ではサイドバーが消え、ガジェットはデスクトップ上を自由に移動できるようになった。ただ、残念なことにガジェットのコレクションは相変わらず貧弱だ(CPUメーター、RSSリーダー、カレンダー、天気など)。しかし、新しい自由とすっきりとしたデスクトップのおかげで、このさき面白いガジェットの開発が増えることは間違いないだろう。

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