Salesforce.comは、IBMと提携してSaaSメッセージング/コラボレーションスイート「LotusLive」を自社のCRMエンタープライズソリューションと連携させる。しかし、クラウドコンピューティングのパートナーであるGoogleと縁を切るつもりはないとしている。
IBMは1月19日、「Lotusphere」カンファレンスにおいて、開発中のSaaS(サービスとしてのソフトウェア)型エンタープライズコラボレーションスイート「LotusLive」の連携パートナーとしてSalesforce.comを紹介した。クラウドコンピューティング分野の動向を注視してきた関係者の中には、今回の動きに首をかしげる人もいるようだ。
LotusLiveには、Webカンファレンシング、ソーシャルネットワーキング、メッセージングなど企業ユーザーが共同でプロジェクトに取り組むのを支援するツールが含まれる。IBMはLotusLiveを自社のサーバ上でホストし、パートナー各社はインターネットを通じてそれぞれの顧客に同アプリケーションを配信することができる。
しかしSalesforce.comはこの数カ月、検索最大手のGoogleのSaaSコラボレーションスイートであるGoogle Appsに接近する動きを強めてきた。同スイートはGoogleがホストし、インターネットを通じてクラウドコンピューティング方式で提供する。
SaaS型CRMアプリケーションを顧客に提供しているSalesforce.comは2008年、「Salesforce.com for Google Apps」を発表した。
この連携は、Salesforce.comのユーザーが、Salesforce.comプラットフォーム上でGmail、Google Talk、Google Calendar、Google Docsのアプリケーション(表計算、プレゼンテーション、ワープロ)などを利用できるようにするというもの。
簡単にいえば、Salesforce.comは、Google AppsとIBM LotusLiveという互いに競合するプラットフォームをサポートするというわけだ。
この点に気付いたLotusphereの参加者の一人は、Salesforce.comの顧客がCRMアプリケーションからIBMのLotusLiveツールを利用できるようになるという今回の両社の提携は、GoogleとSalesforce.comの提携の破綻を意味するのかという疑問をeWEEKの記者に投げ掛けた。
Salesforce.comでデベロッパーマーケティングを担当するアダム・グロス副社長は1月22日、eWEEKの電話取材で「そんなことはない」と答えた。グロス氏によると、LotusLiveスイートとGoogle Appsが類似しているために、Salesforce.comはIBMに接近し、Googleと縁を切ろうとしているのではないかという誤解を招いているのだという。
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