Microsoft、SOA俗説の正体を暴く「ファイアウォールで止まる」(1/2 ページ)

Microsoftの開発プラットフォームおよびツール担当上級ディレクター、スティーブン・マーティン氏はSOAに関するさまざまな俗説について語った。「SOAは死んでいない、ファイアウォールで止まることもない」と強調した。

» 2009年02月06日 18時41分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftの開発プラットフォームおよびツール担当上級ディレクター、スティーブン・マーティン氏は、「Microsoft SOA and Business Process Conference 2009」で、サービスオリエンテッドアーキテクチャ(SOA)に関するさまざまな俗説の正体を暴いた。同氏は、「SOAは死んでいない、ファイアウォールで止まることもない」と強調する一方、Osloによるモデリング戦略、Windows Azureによるクラウド戦略が、MicrosoftのSOAイニシアティブにどのように関連するかについて議論した。

 ワシントン州レドモンドで開かれたMicrosoftの「2009 SOA and Business Process Conference」は、サービスオリエンテッドアーキテクチャに関するいくつかの俗説を否定することからスタートした。

 Microsoftの開発部門製品管理担当上級ディレクター、スティーブン・マーティン氏は、まずSOAの妥当性に言及し、ここ数週間、Burton Groupのアナリスト、アン・トーマス・マネス氏に刺激されて業界で盛んに議論されている問題、すなわち「SOAは死んだ」かどうかについて検証した。

 「SOAの開発をめぐっては誇大宣伝が繰り広げられてきたが、SOAの終焉についてもいま誇大に語られている」とマーティン氏は現在の状況を批判し、「SOAは死んでいない」と強調した。もっとも同氏は、「多くのことが変化し、多くのことが変化していない」と語り、SOAをめぐるいくつかの俗説は否定しなかった。

 マーティン氏が最初に正体を暴いた俗説は、「SOAはファイアウォールでストップする」というものだ。これについては、「EAI(エンタープライズアプリケーションインテグレーション)ベースの機能性を実現するための方法としてSOAを見ているためだ」と指摘した。しかし、「SOAをそのように考えると、われわれは機能性の大きなかたまりを見失うことになるだろう」と同氏。

 そして「SOAはファイアウォールでストップしない」とマーティン氏は断言した。ただし、「今日のIT組織で最も重要な人員は、ファイアウォールを管理しているスタッフであることは確かだ」と同氏は付け加えた。

 マーティン氏が俎上に乗せた第2の俗説は、「SOAではビジネスがITに合わせなければならない」だった。同氏は、「SOAは“How”であって、“What”ではない。ビジネスをITに合わせるように仕向けているのは何か。 それは人だ。SOAはむしろ手法をめぐる会話に近い」と語った。

 さらにもう1つの俗説として、マーティン氏が取り上げたものは、「SOAガバナンスはすべてを解決する」だった。同氏によると、MicrosoftとAmberPointやSOA SoftwareなどのSOAガバナンスソリューションベンダーはきわめて良好な関係にあるが、それでもMicrosoftはSOAガバナンスを万能薬だとは見ていないという。「それは会話の始まりであって、終わりではない。ガバナンスはIT全体に広がるべきものであり、SOAだけが対象ではない」と同氏は力説した。

 マーティン氏はSOAの歴史についても多くの時間を割き、SOAがWebサービスから発展したことを指摘するとともに、その領域は「IBMとMicrosoftがパイオニアだった」と強調した。しかし、「IBMはマーケティングに人材を投入し、SOAを自社が売り込むものと定義してしまった」と同氏。それに対して、「Microsoftの姿勢は、SOAを広く普及させようというものだ」。しかしそれでも、「まだわれわれは表面を引っかいているだけに過ぎない。SOAをファイアウォールの向こう側に拡張し、モデリングと連動することですべてが変わるだろう」と同氏は期待を込めた。

 次にマーティン氏は、過去10年、過去10カ月、過去10週間のSOA産業の動向について語った。この10年、SOAにもさまざまなトレンドが発生した。例えば、Webサービスの爆発的普及などである。世界はますますフェデレーテッドになり、ファイアウォールを乗り越え、「コアvs.コモディティが最大の関心事となった」と同氏は俯瞰する。

 そしてこの10カ月間に仮想化の再浮上など、さらに多くのトレンドが生まれた。「仮想化はいまや完全に一般化した」とマーティン氏。また同氏によると、過去10カ月間に浮上したもう1つのトレンドは、SOAの価値を拡張するためにクラウドとモデリングが前面に出てきたことだという。

 一方、直近の10週間におけるメジャーなトレンドは、「クラウド時代の到来だ」と同氏。そのため、ビジネスロジックの抽象化にフォーカスすることがTo-Doリストのトップに戻ってきたという。その他のキートレンドとしては、「IT資産の原価計算が容易になったこと。また、モデリングが身近なものとなり、ソフトウェアプラスサービス(S+S)の最初のSがさらに重要になってきたことだ」とマーティン氏は指摘した。

 「もはやSOAはエリートの仕事ではなくなった」と同氏。SOAの実装化については、「小さくスタートし、実績を重ねながら拡大していけばよい。リユースは今後も大きな価値を生み続けるだろう」と来場者にアドバイスした。

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