英Telnicが新たなドメイン「.tel」を立ち上げた。ネット版のタウンページのようなサービスだ。
「メールより電話の方がやっぱり便利」
こう話す人は少なくない。飲食店の予約なども電話なら10秒もあれば済んでしまうが、電子メールでは決まるのにどれくらいの時間がかかるのかはっきりしない。言うまでもなく、リアルタイムの双方向性の有無によるものだ。ただし確かに電話は便利なのだが、実際にはウェブ上で電話番号を探すようなケースが多く、ここで店や会社の電話番号の掲載場所が分かりにくいという問題にぶつかることが多い。
そんなユーザーを標的に、英Telnicが新たなドメイン「.tel」を立ち上げた。2006年5月にICANNから認可を受けている。Google、Apple、Microsoftをはじめ、日本ではソニーなど計1万件程度の企業が取得している。
.telは、ネット版のタウンページのようなサービスだ。企業の電話番号を調べたいユーザーが、PCやiPhoneなどの携帯端末からネット経由で.telサイトにログインし、企業名などを検索窓に入力すると、電話番号をはじめ電子メールアドレスなどの情報をすぐに取得できる。ドメイン登録料は初回が3万7000円程度で、3年ごとに更新費用がかかる。現状は英語版のみだが、2月末をめどに日本語化を図る。
日本で.telの販売を手がけるインターリンクの竹内麻朗氏は、公共機関や医療機関での利用を想定する。例えば、市役所には戸籍など担当者別に異なるさまざまな電話番号が設定されており、情報を一覧したいというニーズは強いという。医療センターでも、代表電話、緊急時の連絡先、科別の電話番号など連絡先は多岐にわたっている。
海外からの観光客向けに「kyoto.tel」「fujisan.tel」といったドメインを立ち上げ、各地の観光組合などが宿泊や観光施設、土産店などの情報を集約するといった利用方法も考えられるという。竹内氏は「“てる”という語呂がいいので“暇してる”など特定の言葉と意味を掛けたドメイン名を登録するのもおもしろいのではないか」と提案する。
技術面でも.telには特徴がある。連絡先情報をDNS上に格納しているため、携帯端末などが問い合わせがあった場合に直接DNSから情報を返せる。通常のWebサイトでは、ウェブサイトへのアクセスや電子メールの送信に必要となるIPアドレスやアドレスレコードを返すためにDNSを使用し、その準備が整った上で必要な情報を取得しにいくという2つのステップを踏む必要がある。
ドメインを販売するのは、インターリンクのほか、お名前.com、PSI、ブライツコンサルティングの4社。ドメイン登録は2008年12月から既に始めており、2月2日までは商標登録者のみだったが、以後は誰でもドメイン登録できる状況になっている。
電子メールはリアルタイムの双方向性に欠けるため、ささいな決め事に多数のメールをやり取りすることもある。ドメイン販売業者は、電話をネットを通じて最大限活用するための現実的なサービスとして.telの普及に期待を寄せている。
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