この合併話全体のカギは次の点に集約されるといえそうだ――IBMはSunよりもうまくSunの製品を販売できるかもしれないということだ。
Yankee Groupのアナリスト、ズース・ケラバラ氏はeWEEKの取材で、この指摘は正しいかどうかという質問に対して、「IBMのプロフェッショナルサービスは間違いなくSunの製品を売ることができる。現時点では、彼らはたぶんSunよりもうまくSunの製品を販売できるだろう」と答えた。
公平を期すためにいえば、Sunのマーケティング部門は長い間、不当な批判にさらされ続けてきた。彼らは非常に困難な仕事を強いられたのだ。Sunの重要な革新技術の多くは、収益化するのが極めて難しかったからだ。
その最たる例がJavaであり、OpenOffice.orgをはじめとする同社の各種オープンソース製品もそうだ。もしJavaが1995年の発表以来、仮に年間50億〜100億ドルの副収入をSunにもたらしてきたとすれば、Sunの現在の財務状況ははるかに良好だっただろう。
Pund-ITの主席アナリスト、チャールズ・キング氏はeWEEKの取材で、「JavaがSunに与えた市場での影響力を同社は有効に活用できなかったが、今度はIBMがJavaの影響力を手に入れようとしている」と語った。
キング氏によると、IBMはLinuxを含む各種オープンソース技術に関連したサービスの販売で好調な業績を上げているという。「しかし彼らがJavaを収益化する方法を見つけ出すかどうか分からない。それはあくまで可能性の問題だ」と同氏は語る。
ケラバラ氏によると、既にCisco Systemsは「UCS」(Unified Computing System)の発表という形で自社の手の内を見せたという。
「IBMはSunを買収することにより、サーバ、ストレージ、プロフェッショナルサービス分野でのIBMの強みにSunのVDI(Virtual Desktop Infrastructure)技術を組み合わせることが可能になる。これは、“IBMデータセンター”構想の具体化に向けた取り組みを後押しするものでもある」とケラバラ氏は話す。
「Yankee Groupの“Introducing Anywhere IT”リポートでも予想したように、この変化はベンダー間の勢力地図を塗り替えるだろう。今後、業界再編がさらに進み、大手ベンダーがデータセンター市場で勢力争いを繰り広げる中、Rackable Systems、Mellanox Technologies、QLogicなどのベンダーが必然的な買収候補となってくるだろう」(同氏)
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