Enterprise Strategy Groupのアナリスト、ブライアン・バビノー氏によると、Sunの経営陣と株主にとっては、IBMとの合併が最善の結果だという。
「Sunは、ハードウェア中心のビジネスモデルからオープンソースソフトウェアを柱とするビジネスモデルに移行しようとしてきた。しかし今日の経済状況においては、それは容易なことではない」とバビノー氏は語る。「同社は方向転換を図る一方で、レイオフなどの経費削減策を通じて常に市場の状況に反応している。オープンなストレージプラットフォームの拡張ではそれなりに成功したものの、成長を牽引するほど実質的な収益にはつながらず、十分な株主価値を生み出すことができなかった」
バビノー氏によると、誰も口にしていない選択肢として部分的買収の可能性があるという。これはIBMがSunの一部を“切り出して”買い取り、残りの部分――おそらくソフトウェア部門――は、規模を縮小した企業として存続するというものだ。
「そうなれば、Sunはハードウェア遺産の重荷から解放され、自社の戦略を遂行するこができる」とバビノー氏は話す。
Mesabi Groupのベテランアナリスト、デビッド・ヒル氏も両社の合併に賛成だ。
「この買収提案はすべての関係者にとって朗報だ。破産という暗黒の事態を回避することで、Sunの落日は明るいものとなるだろう」とヒル氏はeWEEKの取材で述べている。
「規模と経験に不足のないIBMは、多岐にわたるSunの事業を吸収できる数少ない企業の1社だ。つまり、Sunの株主と従業員だけでなく、Sunの顧客も恩恵を受けるということだ。IBMにとっては、SunのIP(知的財産)と顧客ベースを手に入れることで自社の競争力を強化できるというメリットがある。それだけでなく、ITコミュニティー全体が恩恵を受ける。SunはITイノベーションに大きく貢献しているからだ。同社で進行中の素晴らしい取り組みがすべて消滅するようなことになれば、大変残念だ」と同氏は語る。
HPとDell、そして日立や富士通、NECといった日本のシステムメーカーにとっては、今週は楽しい1週間ではなかったようだ。
3月16日、ネットワーキング業界の王者Cisco Systemsが、データセンターシステムのビジネスへの参入を表明した。その2日後には、IBMとSunの結婚話が持ち上がったのだ。
ITビジネスの世界が日ごとに分かりやすくなったり、単純化したりすることがないのは間違いなさそうだ。
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