マイクロソフトと提携強化した富士通の深謀遠慮Weekly Memo(1/2 ページ)

富士通とマイクロソフトが先週発表したソリューションビジネスの協業を柱とした提携強化には、エンタープライズ市場での戦略展開に向けた富士通の深謀遠慮がうかがえる。

» 2009年03月30日 07時14分 公開
[松岡功ITmedia]

HPに続いて2例目の協業形態

 富士通とマイクロソフト日本法人が先週26日、4月1日からエンタープライズ市場におけるWindows Serverプラットフォーム上のソリューションビジネスで協業すると発表した。

 具体的には、富士通のPCサーバ「PRIMERGY」をはじめとするハードウェアやシステム構築技術と、マイクロソフトのグループウェア「Exchange Server」、文書共有ソフト「Office SharePoint Server」、データベースソフト「SQL Server」などのミドルウェアを組み合わせたソリューションを開発し提供する。

 さらに商談開拓からシステム構築、運用サポートの各フェーズにおいて協業体制を確立し、両社一体となって顧客に最適なソリューションを提供することで、早期のビジネス拡大を目指すとしている。

 今回の協業にあたり、富士通は昨年12月にマーケティングとアライアンス推進を行う専任組織「MSソリューション推進室」とマイクロソフト製品の技術支援を行う「MSミドル技術センター」を設置し、ビジネス企画・支援体制を整えてきた。一方、マイクロソフトでは「富士通ビジネス本部」を昨年7月に設置し、ソリューションビジネスにおける商談支援の強化を図ってきた。

 そうした準備のもと、両社は今回、顧客への提案、システム構築、運用サポートの各フェーズにおいて共同でビジネスを進めるため、セールス、エンジニアリング、サポートのジョイントチームを結成。とくにサポートチームではマイクロソフトに富士通のサポート要員が10人程度常駐して顧客対応にあたる体制を整備した。

 さらに両社は、富士通のグループ会社を含めたSEに対し、マイクロソフト製品の育成プログラムを開発して、3年間で2000人のマイクロソフト認定エンジニアを育成。これにより、Windows ServerプラットフォームにおけるソリューションSE体制を強化していく構えだ。

マイクロソフトとの提携強化を図った富士通の野副州旦社長

 マイクロソフトによると、こうした形態でのエンタープライズ市場におけるソリューションビジネスの協業は国内で初めて。グローバルでも米Hewlett-Packard(HP)に続いて2例目だという。発表当日の会見内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは富士通の狙いに焦点を当ててみたい。

 富士通はこれまでも、マイクロソフトからWindows Serverプラットフォーム関連製品の供給を受けるとともに、ハードウェアやOSを中心とした分野でのグローバルなマーケティング活動など、広範囲にわたって協業してきた。今回の提携強化は、その範囲をエンタープライズ市場のソリューションビジネスにも広げた格好だ。

 その背景には、企業システムにおけるPCサーバとWindows Serverプラットフォームの拡大があるが、さらには富士通特有の事情もあるようだ。

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