「右脳の復権」が分析麻痺状態の組織を救う職場活性化術講座(1/2 ページ)

論理分析重視、ロジカルシンキング重視が幅を利かせてきたこの20年。経済環境の変化とともに、硬直化した組織を変えるために右脳型の発想、行動が見直され始めている。

» 2009年03月30日 14時31分 公開
[徳岡晃一郎,ITmedia]

徹底して論理性が求められてきたこの20年

 左脳型か右脳型かという議論がある。論理分析的で鋭く、知識が豊富で立て板に水のような議論を展開し、よどみがなく、反論できない・・・。そんな人に出会うと、「あぁ、この人は正に左脳型だな」と思う。また、反対に、情緒的で直観的にズバッと指摘してくるが、その裏づけが先にあるわけでもなさそうだし、説明を聞いてもたとえ話や経験値などが満載の雰囲気的な説明で、なんとなく同感して、からみとられてしまう・・・。そんな人に出会うと、「あぁ、この人は右脳型なんだろうな」と思う。

 このように職場には、あるいは世間には左脳型と右脳型のタイプがどうもいそうだが、どちらかというと最近では、左脳型が主流になっているのではないだろうか。

 左脳型の理路整然とした切り口や弁舌にはなかなか反論するのが難しいからだ。また数字や論理で辻つまがあっていないと、他人からいろいろと攻め立てられてしまう。だいたいビジネスは経理や戦略、確率や金融工学などいろいろな数字に満ちあふれている。予算を立てるにも、縦横がきちんと合わないとならないし、全社の数字と各課や各人にまでブレイクダウンされた予算が合っていないと大問題だ。アクションもバランススコアカードなどの手法で、すべてがつながった論理的な世界ができていないと気持ちが悪くもある。投資収益の計算や将来の為替の動きの予測、コンピュータでのシミュレーションなどでも数学が大いに必要となる。

 こうして、論理分析重視、ロジカルシンキング重視、MECE(mutually exclusive, collectively exhaustive:もれなくダブりなく)な分類のフレームワークなどが重宝され、そういう分析に多大な人と時間を費やし、論理的に完璧な誰も反論できないような企画や戦略を作成することが仕事の中心になっていく。

 当然、社員の能力、資質、コンピテンシーもそういうニーズを反映し、論理分析能力や分析的な資質・発想・行動特性が求められるし、教育の大きなテーマにもなっていく。

 このような時代がこの20年近く続いてきた。日々の職場では、PCでオフィスソフトを操作することが浸透し、左脳中心的仕事のスタイルを後押しした。ITシステムの発展で複雑な業務プロセスを分解して捉えれるようになってもきた。みな自分の専門領域に深く入り込み、専門家の方向に進んでいくと同時に、それらの細分化された専門領域はITがつないでくれるような便利さも手に入れた。

 一方で、成果主義や短期決算、スリム化やアウトソーシングによる選択と集中、株主を裏切らないための透明性の向上など、利益至上のスピードと急成長の経営が、徹底した論理性を要求してきた。

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