今回の発表の目玉はFujitsu Siemensが4月になり完全子会社になって会社の名称がFujitsu Technology Solution(略称FTS)に変わるということ、x86サーバの開発主体が富士通本体から新会社に移管されることだ。既にx86サーバの出荷台数では海外の方が国内より、若干上回っているようだが、さらに海外での出荷量を増加させるため、このように方針転換が図られるようだ。
わたしはこれに関しても、若干疑問を呈さざるを得ない。疑問の原点は以下の通り。
つまり、現況では、富士通は国内での競合も制していないうちから、戦いの場を全世界に広げようとしている。しかも、昨年後半から、サーバの主戦場は高価格帯であるブレードからタワー型、ラック型に移りつつあり、それだけ価格競争が熾烈になっているにもかかわらずだ。
さらに、わたしが危惧していることがある。開発場所が日本からドイツへ移るという構図だ。長い間この業界に居て、ドイツはコンピュータ業界で不毛地帯であった。あくまでも私見だが、恐らくドイツ人気質にコンピュータはそぐわない。ドイツ製のコンピュータなんてイメージさえ湧かない。そんな土壌の地に開発拠点を移すというのは果たして正しい判断なのだろうか。ライバルの多くは基本設計を米国で行い、量産設計は生産が行われる現地(多くの場合中国を中心とした東アジア地域)に委ねている。そこには、さまざまな情報が飛び交い、設計を行う大勢の技術者が切磋琢磨している。富士通の今回の判断はこの流れに逆らっている。
欧州の中でもハード志向の強いドイツというのは一種の違和感が拭えない。
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