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» 2009年04月17日 08時00分 公開

トリセツ読まなきゃ……。悲しき女子ヘルプデスク物語(2/4 ページ)

[鐙貴絵,ITmedia]

浮かれるわたしに浴びせられる冷や水?

 次の日、少々寝不足気味なくせに、妙にテンションの高い状態で出勤するわたし。昨日手に入れたケータイを、自慢するだけ自慢し、部署内の羨望のまなざし(決してわたしに向けられたものではなく、ケータイに向けられていたのだけれど)を独り占めにした。とりあえず朝の仕事は順調にすませる。

 そして仕事がひと段落つくころ、すっかり普段と同じテンションに戻ったわたし。寝不足とはしゃぎすぎが災いして、いつもより疲れているような気がする……。しかし、就業時間はまだ終わらない。私は一息つこうと自動販売機のあるフロアへとやってきた。わが社の自動販売機の前には、バーカウンターのようなテーブルが置いてある。そこは2、3人でのちょっとした雑談にちょうどいい。自動販売機で紅茶を買い、そのまま部屋には戻らずにカウンターで一息ついていると、不意に後ろから声をかけられた――。

「ああ、ここにいたんだ、ちょっと教えて欲しいんだよ」

 声をかけてきたのは、Iさんだった。彼は何年か前に定年退職し、その後会社の再雇用プロジェクトによって再就職してきた人だ。いわゆるPCがあまり得意でない年代の人だ。しかし、再就職前の彼はほとんどトラブルを起こしたことがない。なぜなら。

 彼自身が、触らないようにしていたから、だ。

 PCが必要な仕事は、できる限り部下に頼っていたらしい。メールも部下にプリントさせてから目を通していたという。いや、そんなツワモノは彼だけではない。おそらく、この年代の人たち共通の悩みだったのだろう。これについてはさすがに情報セキュリティ面の問題が大きく、(年配の)役員向けにPCセミナーが開かれたことを記憶している。

 わたしがそんなことを思い出しているなんて、知るよしもないIさん話を続ける。

Iさん いやね、君たちがやってくれたPC講習会の内容をきちんと聞いておけばよかったとつくづく思うよ。この年になってからまた、勉強するとは思っていなかったからさ。

わたし こんにちはー。お久しぶりですね。

 あれ? ちょっとタイミングをはずした挨拶になってしまった。でもIさんはそれすら耳に入ってないらしい。

Iさん この間まで休みをもらっててね。役員だったときと違って、自由に休みが取れるから海外旅行に行っていたんだ。

 聞いてもいないことを一方的にシャベりまくるIさん。しかし、自由に休みが取れる身分とはうらやましい……。しかし、ここで旅行の話に乗ってしまったら部署に帰れなくなるかもしれない。なにせ、彼は無類の話し好きなのである。1分で終わる話でも彼にかかると5分、10分になる。ここは無難に話を元の路線に戻そう。

わたし なにか、PCでトラブルでも? 先ほどもわたしを探していらっしゃったような……。

Iさん あ。そうだった。ちょっと教えて欲しいことがあってね。

 よかった。話を元に戻せて。と安心したのもつかの間、思ってもいないセリフがIさんから飛び出した。

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