ブログサービス「Doblog」が2カ月半のサービス停止の後、終了をアナウンスした。Web上でサービスを提供する企業として、この対応は果たして正しかったのだろうか。
NTTデータが提供するブログ・SNSサービス「Doblog」は4月24日、5月30日をもってサービスを終了すると告知した。Doblogは、2月8日の午前10時ごろ、ハードディスク故障のためにサービスを停止していたが、その復旧作業が終了したと同時に、サービスの停止が発表されたのである。
かつてわたしは、ITmediaにおいてブログ関連のニュースや「ブログ界」などを書いてきたので、Doblogの正式サービス開始などをチェックしていたことがあった。現在は、ニュースの執筆をしていないため、ブログ界隈のチェックが疎かになっており、Doblogの障害に関しても、ある程度経ってから知ったくらいだった。それでも、今回の発表には驚きと、悲しさを覚えずにはいられなかった。
すでに報道されているが、今回のサービス終了についてNTTデータが公表したお知らせから、その理由部分を引用したい。
いわく――「復旧作業の終了を受け、今後のDoblogについて検討した結果、Doblog開設時の目的である、ブログシステムを構築するための技術的知見、およびコミュニティーサービスを運用・運営するためのノウハウの蓄積については十分に達成できたものと考え、サービスを終了するという判断をいたしました」――と。
いくらなんでも、この理由はないだろう。よしんば、これが真の理由だったとしても、もっと書き方があったはずだ。
多くのDoblogユーザーは、Doblogが復旧するのを待っていた人も多かったはずだ。実際、2カ月半にわたってブログが停止している状態の中で、ほかのブログに移転せずに復旧を待っていた人もいた。もし、単に「ブログをやりたい」というだけで、その場がDoblogだったというだけであるならば、サービス停止中に見切りをつけて、ほかのブログサービスへ移転することもできただろう。サービス復旧を待っていたわけだから、Doblogへの愛着があったユーザーがいたことが伺えるのだ。
現在「livedoor Blog」や「はてなダイアリー」などの一部のブログサービスが、Doblogからのデータ引っ越しサービスを開始するなど、ユーザーの取り込みを始めているが、果たしてそれが有効な手となっているだろうか。
それが、復旧するや否や、当初の目的であるノウハウは蓄積できたからサービスは終了、と言われてしまえば、復旧を待っていたユーザーの気持ちを逆なでするだけではないだろうか。要するに、ユーザーはモルモットだったと言っているに等しいからだ。
もちろん、Web上でのサービス提供には、それぞれ開設の目的があり、中には研究目的であると明示しているケースもある。とは言っても、それは使ってくれる、参加してくれるユーザーあってのこと。もう少し誠意のある対応を取ってほしいと思ったのはわたしだけだとは思えない。
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