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» 2009年07月21日 07時10分 公開

会社に潜む情報セキュリティの落とし穴:監視カメラ社会の行き着く先は? (2/3)

[萩原栄幸,ITmedia]

日本の状況、英国との違い?

 日本では、監視カメラを警察や地方自治体が「犯罪抑止」の目的で導入する例が以前は少なく、新宿の歌舞伎町における犯罪抑制の監視カメラが作動している例などが散見されるくらいでした。しかし、近年は設置数が急増し、設置台数は恐らく世界の五指に入るほどの状況ではないでしょうか。

 監視カメラは、コンビニエンスストアや商店街などいたるところに設置されています。また高速道路には、オウム真理教事件で有名になった「Nシステム」(自動車ナンバー監視システム)など、国や県、市、町、商店街、店舗などあらゆる集合体で監視カメラが活用されています。

 最近サスペンスドラマをテレビで見ましたが、そのシーンでは鉄道においても監視カメラが活躍していました。現在では成田空港と関西空港に顔認識システム付きの監視カメラが設置されたほか、2007年7月1日には東海道・山陽新幹線で営業運転を始めたN700系電車の全乗降口と運転室の出入口に、国内初の鉄道車両内監視カメラが設置されました。公共交通機関でも防犯を強く意識した監視カメラの設置が進んでいます。

 ただし、英国と日本を比較するとその違いが明らかになります。主な違いは以下の通りです。

  1. 監視体制が組織的であるのが英国。日本は単体であることが圧倒的に多い
  2. 顔データの分析などを積極的に活用しているのが英国。日本では犯罪発生後、犯人を特定する手がかりとして活用するケースがほとんど。英国の目的はあくまで「抑止」として、容疑者が犯罪を行う前に捕まえることにある
  3. 英国では設置場所を公開し、看板を提示している。日本では監視カメラの設置場所が極めて分かりづらく、分からないように設置されている。店舗などで「監視カメラ稼働中」と表示し、犯罪抑止としての効果を挙げているものも多いが、不特定多数の街頭カメラでは――最近明示するようになったものもあるが――全体量としては存在を隠している設置が多い

 日英にはこうした違いが存在していますが、それぞれが良いことであるか、悪いことであるかは、視点の持ち方によって変わると思われます。

監視カメラの是非を問う

 監視カメラ先進国である英国では、一見すると素晴らしい成果を上げているシステムのように思えますが、その裏ではさまざまな問題が発生しています。

 ウェールズ地区では、悪質なオペレーター(監視者)がお気に入りの女性を監視カメラでしつこく付きまとっていました。女性が公衆電話の近くに行くと、その公衆電話に電話をして誘うなど、ストーカーそのものの行為をしたとして逮捕されました。

 実際の運用が違法ではなくとも、「風紀を乱す者」を監視する傾向になったり(ホームレスや一部人種への差別を生む)、カメラ映像を濫用したのぞき見をしたりするケースもあります。警察の監視室から売春に携わる人物が頻繁に出現する映像を納めたビデオテープが発見されたこともあり、担当者が個人的にコレクションしたり、テープそのものが売買されたりしているといいます。

 統計上から暴力事件は確かに減少したものの、窃盗事件などにはほとんど効果がなく、強盗事件がむしろ増加したといいます(犯罪全体としては減少している)。また、監視カメラが設置されていない場所への「犯罪の移動」に過ぎないという意見も存在します。

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