Twitterの未来を占う事件が起こった9月前半Twitter定点観測(1/3 ページ)

9月前半は華々しい出来事は少なかったものの、Twitterの将来を占う上で幾つかの重要な事件があった。今回は利用規約の変更、日本版Twitter公式ガイドの開設、スパム判定をめぐる騒動という3つのトピックを取り上げる。

» 2009年09月22日 00時00分 公開
[小林啓倫,ITmedia]

 ビデオリサーチインタラクティブの調査によると、8月の日本国内のTwitter利用者数は、前月比2.2倍の193万人に増加した。この数は家庭内のPCから「Twitter.com」にアクセスした数を調査したものだ。iPhoneや携帯電話からのアクセスも含めれば、さらに多くのユーザーが存在しているだろう。日本でもユーザーが急速に増えているTwitterは、いったいどこに向かおうとしているのか。9月前半のTwitter動向を振り返り、生まれつつある変化について考えてみよう。

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ユーザー利用規約が変更

 9月10日、Twitterは新しい利用規約を発表した 。前と比べて幾つかの変更や追加がある中、注目すべきポイントは広告コンテンツの扱いに関する部分だろう。

 広告については、Twitter上もしくはサードパーティーによる関連ツール/サービス上において「広告が掲載される場合がある」という文言が明確に記されている。また広告の種類は、Twitter上に投稿されたコンテンツや送られてきたクエリなどの内容に基づくものになるとされており、AdSenseAdWordsのような広告システムが念頭に置かれているようだ。この規約に則ると、例えばTwitterの「search.twitter.com 公式検索機能」上でのみ、結果画面に検索連動型広告を出すといった運用が考えられそうだ。ユーザーの抵抗が少ない形で広告を導入することは不可能ではないと考えられる。

 そもそもTwitterの日本語サイトは、開設した当初からサイドバーの上部に広告が表示されている。また公式ブログでも「広告掲載の可能性は以前から明言していた」と述べられている。規約にこの文言が入ったことで急に何かが変わることはない。しかしTwitterでは「どんなビジネスモデルを採用するのか?」というテーマが常に問題としてあった。その答えの1つを出す考えがあることを、運営側が示そうとした利用規約の変更なのかもしれない。

 次にTwitterのコンテンツ、すなわちユーザーのつぶやきについてだが、ユーザーは自分が投稿した「一切のコンテンツに対する権利を保有する」ということが明記された。一方で、ユーザーはサービスを利用している時点で、投稿されたコンテンツを再利用するライセンスをTwitter側に「無償で許諾」しているという規定になっている。さらにTwitterはそのライセンスを第三者に与えることも可能とされ、従来通りAPIを通じたデータの外部利用も許可されることになった。

 コンテンツの扱いに対する規約も、広告と同じく現状を追認したものに過ぎない。Twitterは、コンテンツを囲い込むビジネスではなく、外部サービスと連携して、全体でエコシステム(生態系)を育てていくことを示唆しているともいえる。今回の規約変更は、将来的に何が変わるかではなく、何が変わらないかという意志を表明しているという解釈が可能ではないだろうか。

 実は利用規約についてはもう1つ、スパム判定基準についても取り上げたいのだが、これは後述することにしよう。

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