「Linux開発モデルは生物の進化のよう」――リーナス・トーバルズ氏 来日語録Weekly Memo(1/2 ページ)

Linux創始者で現在も開発をリードするリーナス・トーバルズ氏が先週、関連イベントを機に来日した。記者会見や基調講演での同氏の発言をピックアップしてみた。

» 2009年10月26日 08時50分 公開
[松岡功ITmedia]

開発プロセスの最適化に注力

 Linuxカーネルの生みの親でThe Linux Foundationのフェローを務めるリーナス・トーバルズ氏が先週、東京で開催されたLinux関連イベント「Kernel Summit」や「Japan Linux Symposium」に参加するために来日。10月21日午前に記者会見、午後にはThe Linux Foundationエグゼクティブ・ディレクターのジム・ゼムリン氏の質問に答える形で基調講演を行った。

記者会見に臨むリーナス・トーバルズ氏

 Linuxの誕生は、1991年に当時まだ学生だったトーバルズ氏が、趣味で始めたUNIXクローンOSの開発がきっかけとなった。そして18年を経過した今、Linuxカーネルの開発は数千人の技術者がかかわる巨大オープンソースプロジェクトとなり、「関連する製品やサービスを合わせると、500億ドル以上の市場規模に達している」(The Linux Foundationのゼムリン氏)という。

 トーバルズ氏は記者会見や基調講演で、そうした歴史的背景をはじめ、Linuxの開発モデルやプロセス、今後の活動などについて自身の率直な思いを語った。その発言から、わたしが印象に残った言葉をピックアップしてみた。

 「Linuxがこんなに大きな存在になるとは思わなかった」

 開発当初から、Linuxが幅広く利用される存在になると考えていたか、と問われたトーバルズ氏はこう答えた。そして「18年前に開発を始めたときは、自分で使うことだけを考えた。もし今日のLinuxの姿を目論んでいたなら、そのプレッシャーで開発は進まなかっただろう」と語った。

 「今のわたしは最小限の仕事しかしていない。ただ、開発のプロセスには常に注意を払っている」

 最小限の仕事しかしていないのは、「プロジェクトにかかわっている技術者の間で、作業をできるだけ幅広く分散するようにしている」からだ。ただ、数千人の技術者がかかわる巨大プロジェクトでそれぞれ立場も違うだけに、時として利害関係が発生する。その調整のために注意を払っているのが、開発のプロセスだという。つまり、常に開発プロセスの最適化を図るのが、今のトーバルズ氏の役目のようだ。

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